東北大学公共政策    

宍戸邦久 SHISHIDO Kunihisa

専攻科目

地方行財政

略歴

 2012年8月に、東北大学大学院法学研究科公共政策大学院に赴任しました。総務省出身の実務家教員です。

 仙台市(当時:宮城郡泉町)生まれで、両親は福島県出身者です。山形県にも住んでいました。

 1991年に東京大学法学部を卒業し、当時の自治省に入省しました。自治省・総務省では、地方財政制度・消防行政制度などの企画立案や、地方自治体の中堅・幹部職員に対する研修指導などの業務に携わりました。地方自治体では、岐阜県(地方課)で1年、福岡市(企画課)で2年、山形県(長寿社会課、企画調整課、市町村課、財政課)で6年勤務しました。

公共政策大学院での授業にあたって

 2014年度は、1年を通して公共政策ワークショップⅠでプロジェクトA「登米市における今後の施策展開のあり方」を担当しています。

 日本は、少子高齢化が進行し、人口減少社会となっています。そのような中にあっても、経済を持続可能なものとし、国民・住民がどこに住んでいても安心して快適な暮らしを営んでいけるような国づくり・地域づくりが必要です。そのため、全国の自治体は、地域の特性を踏まえ各種施策を展開しており、宮城県登米市もその一つです。

 登米市は、宮城県北東部に位置し、2005年に9町が合併して新設された自治体です。農林業を基幹産業としてきましたが、後継者不足や農産物の輸入の増加などにより低迷していることから、農林業の振興や有効な土地利用、地場産業の振興、地域経済の活性化が必要な状況にあります。

 また、登米市は、既に4人に1人が65歳以上の超高齢社会に直面しており、高齢者が住み慣れた地域で自立して生活できるよう福祉サービスの充実や暮らしやすい環境を整えるとともに、安心して子どもを産み育て、子どもたちが健やかに育つことができる仕組みづくりや救急医療環境の充実が重要となっています。

 加えて、積極的な公共投資が望めない中で、既存施設の有効活用や効率的な維持管理を図りながら、多様化する市民ニーズに対応していく「質の高い生活空間のあるまちづくり」、合併により効果が得られた広域的なまちづくりや行政基盤の強化がある一方で多様化した地域の課題を解決していく「市民の積極的な参画システムづくり」など、課題は多岐にわたっています。

 このような状況を踏まえ、本ワークショップでは、登米市をフィールドとして、今後の社会経済情勢の変化にも対応し、東北地方における地方都市として住民が安心して快適な暮らしを営んでいけるような地域づくり何が必要なのかを探っていきます。

 また、2014年度前期には、講義「地方自治政策体系論」を担当しました。我が国は、これまで、中央集権システムのもと成長と拡大を基調とする政策により福祉国家の実現へと邁進していた時代を歩んできました。しかし、今や、少子高齢化・人口減少の進展とともに成熟社会へと転換しています。この動きに応え、地方自治の分野でも様々な政策が展開されています。これらの中から特に、地方分権、税財源移譲、震災復興、地域活性化など、最近の制度改正や主要な課題を採り上げ解説し、これらが我々の生活にどのような影響を及ぼすか、皆さんと共に考えていきました。

 この他、「政策調査の技法」の授業では行政の政策立案過程について、「公共政策基礎理論」の授業では地方自治体での施策展開の実際について講義を行いました。

研究室にて

 地方分権改革の進展や「地方創生」政策の展開に併せ、国・都道府県・市町村のあり方・役割はどうあるべきか、議論が高まっています。このような中で、単に教条的に説くのではなく、住民にとってなぜ地方自治の進展が大切なのかを根本的に見つめ、考えていきたいと思います。そのためにも、“地方自治の現場”に赴き、何が起き、何が語られ、何が求められているのかを追い求めていきたいと考えています。そして、人々の生活・生き様において幸せにつながる地方自治の姿を提案していきたいと思います。

このページのTOPへ