公共政策大学院TOP > ニューズレター > 2019年度ニューズレター > 公共政策ワークショップⅠ中間報告会の開催報告

公共政策ワークショップⅠ中間報告会の開催報告

 長雨の季節の終わりを告げる蝉の歌声が聞こえ始めた7月26日、今年度の公共政策ワークショップⅠの中間報告会が行われました。朝8時50分から、夕方18時30分まで、M1、M2学生と関係教員、一般参加の方々など、約70名が一堂に会して、四つのプロジェクトの進捗について、濃密な議論が展開されました。

 各ワークショップの報告時間は40分。それを全メンバーで分担して、各自がそれぞれの担当部分を聴衆の前で報告しました。ここでは、メモを見ながら話すのではなく、顔を上げてはっきりと報告することが求められるため、自分の報告内容を暗記し、何度も事前に練習しておく必要があります。こうした経験が、「伝える力」・「共感してもらう力」を養うことにつながるのは言うまでもありません。

ワークショップC「農林水産物輸出促進とインバウンド農泊による農山漁村振興策の研究」(08:50〜10:50)

写真WSC

 海外の力を取り込み、農山漁村に雇用と利益を生み出すことを目指すWSCは、農林水産物輸出とインバウンド農泊という二つの手段のそれぞれの政府の取り組みをまとめた上で、前期の22件のヒアリング調査に基づき、輸出促進における輸送、食品ルールと規制、販路拡大、またインバウンド農泊における地域の自立した運営、インバウンド向け広報といった課題を抽出し、後期の海外調査などの活動計画を報告しました。

ワークショップB「仙台市総合計画の制度的・実証的研究」(11:05〜13:05)

写真WSB

 正確な現状認識と将来予測を踏まえて、仙台市のグランドデザインを描き、批判的かつ建設的に政策提言を行うことを目標とするWSBは、総合計画制度の概要や仙台市の人口分析などを説明したのち、次期仙台市総合計画に関するヒアリングを通じて抽出した地域偏在という課題に注目し、地域ごとの多様な問題に柔軟に対応するためには縦割り行政を克服すべきだとして、三鷹市PREの事例などを紹介しました。

ワークショップD「SDGsの達成を目指したプロジェクトの検討」(14:05〜16:05)

写真WSD

 国連加盟国193カ国が2030年までの15年間で達成する17の行動目標であるSDGsの達成に向けた実践プロジェクトを研究するWSDは、様々な団体へのヒアリング調査を経て、「対話と協働を通じた包摂的な社会」を目指すべき方向性として打ち出し、その実践活動の事例として、ESD(持続可能な開発のための教育)、CI(コレクティブインパクト、多様な利害関係者が特定の社会課題の解決のために行う協働)、多様性を尊重しあう対話の場づくりなどを提唱しました。

ワークショップA「人口減少社会における地方行政のあり方〜秋田における今後の施策展開を考える」(16:25〜18:25)

写真WSA

 全国1位の人口減少率である秋田県を対象に調査・提言を試みるWSAは、これまでの国の施策を説明した上で、さらなる地方の視点からの対策が必要だと述べ、秋田県や横手市でのヒアリング調査や豊富なデータ分析を通して、人口減少に対して自然減と社会減の双方に対する対策を具体的に検討し、さらには定住人口と交流人口の間に存在する「関係人口」を創出する重要性にも触れて、後期でも政策提言を検討する意欲が示されました。

 

 40分の各報告の後は、合計70分の質疑応答が続きます。他のチームに属するM1学生や、昨年度に壇上で報告を経験したM2学生、そして多様な専門分野の教員たちから、次々に鋭い質問が投げかけられ、それらをチームワークを駆使しながら回答していきます。こうしたディスカッションを通して、新たな課題や論点が浮かび上がることも多く、それら全てが後期の活動の指針となることは想像に難くありません。中間報告会後には、夜遅くまで懇親会が催され、質疑応答の延長戦がそこかしこで展開されたそうです。長い夏の1日の達成感を皆で共有したことでしょう。

 一昨年度から公開されている中間報告会には、今年も数多くの方が見学にいらっしゃいました。12月には、最終報告会が開催されますので、ぜひ奮ってまたご来場ください。

▲このページの先頭へ