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ワークショップCベトナム調査報告

 2019年11月11日から15日の5日間、ワークショップC(教員2名、学生6名)はベトナム・ホーチミンを訪れ、研究テーマである「農林水産物の輸出促進」と「インバウンド農泊の推進」に関するフィールドワークを行いました。

 9月に訪問した台湾は日本とのつながりが深い「成熟市場」の代表格です。それとは対照的に、今回、別のチームで訪問したベトナムは、日本産農林水産物・食品にとっていわば「新興市場」の筆頭格です。ベトナムは10年以上、毎年6~7%の経済成長率を誇り、若い世代を中心に急成長していますが、その最大都市ホーチミンを訪れた私たちは、街中を走り回る若者のバイクの群にまず圧倒されました。

 こうした熱気あふれるベトナム市場での日本産農林水産物の輸出促進策を探るべく、日本貿易振興機構様や、現地商社Huong Thuy Manufacture Service Trading Corporation様から、「新興市場」特有のノウハウや、インフラなど様々な制約条件についてお話を伺うことができました。

 また、中心市街地にある高島屋や郊外のイオンの中の日本食品の販売コーナーや、ちょうど開催されていたベトナム最大級の食品展示会VIETNAM FOOD EXPO 2019を見学し、ベトナムの方々が抱く日本産品に対するブランド化・安心感などのポジティブな可能性を発見できました。FOOD EXPOでは、日本から我らが東北の農林水産物も出展されていました。日本産品のブランド力やプロモーション力などの強みを実感する一方で、どちらでも韓国産やタイ産、そして現地生産の日本ルーツの食品を数多く見かけ、差別化や価格など様々な点において支援が求められることも再確認しました。

 もう一つのテーマである「インバウンド農泊の推進」については、現地の旅行会社であるBen Than Tourist様を訪問して、ベトナム人旅行客の動向を教えてもらいました。さらに、農泊振興のヒントを得るべく、郊外の農村地域まで足を運び、欧米圏からの観光客も多いメコン川流域のツアーを見学してきました。

 このように、日本ではイメージしにいベトナムの様々な現場を直接訪問することで、最終報告会での政策提言のヒントを数多く得ることが出来ました。ベトナム市場で日本産品が他国の産品とくり広げている競争の姿を忘れずに、日本産農林水産物がベトナムの人々の買い物かごに入るために必要なアクターの連携策などについて、最終報告会まで残り少ない日数ですが、必死に考えてまいります。この海外調査をサポートしてくださった法学研究科の先生方・事務スタッフの方々、JR東日本グローバル人材育成プログラム基金の皆様に、厚く御礼申し上げます。

最終夜、有名なベンタン市場脇の屋台で、現地の食材をしっかりと味わいました。その美味しさとともに、WAGYUと称するナゾの牛肉を苦々しく噛み締め、海外市場で日本産が直面する課題に危機感を覚えながら、ベトナム・ホーチミンを後にしました。

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