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公共政策ワークショップI最終報告会の開催報告

 2020年12月22日、23日の2日間にわたって、東北大学公共政策大学院の中核科目である公共政策ワークショップIの最終報告会が開催されました。8月の中間報告会と同様に、コロナ・ウイルス感染拡大防止の取り組みを徹底させた形での実施となりました。

 トップバッターのプロジェクトBは、本学とパートナーシップ連携協定を締結している横手市の皆様の御協力を得られたというメリットを活かして横手市の行政の実態に則した精緻な研究成果を報告「横手市における地域包括ケアシステムの構築および地域共生社会の実現に向けた更なる取組の推進に関する研究」において披露いたしました。人手不足が深刻化する介護の現場にどのようにして定年前後の人々を参画させていくかという課題をめぐってフロアの参加者と建設的で活発な議論が展開されたのが印象的なセッションでした。

プロジェクトB
プロジェクトB

 2番手のプロジェクトCは、「外交ワークショップ」とも呼ばれており、例年海外でのフィールドワークの成果を最終報告会で発表することが恒例となってきましたが、今年度のメンバーは、コロナ・ウイルスの世界的蔓延の影響で海外での調査が実施できないという問題に直面しました。そこで、オンライン会議のシステムなどをフル活用して国連機関、複数の国の大使館、日本の外務省やJICAに対して聞き取り調査を実施し、日本が国連の場で掲げてきた「人間の安全保障」に関する取り組みを一層充実させるための方策を報告「人間の安全保障(Human Security)の有用性及びその国際社会での推進について」において提案しました。

プロジェクトC
プロジェクトC

 2日目の最初の報告となったプロジェクトDの報告「なぜ地域振興にとって農業が重要なのか?農地と担い手の課題に関する研究」は、オンラインでの報告となり、YouTubeでの発信もおこなわれました。各報告者は、手作り感あふれる個性的なPowerPoint資料を用いつつ、報告の際に時折方言も交えるなど、視聴者を惹きつけるエンターテイメント性を意識した完成度の高いプレゼンテーションを披露いたしました。また、それをつうじて、東北地域においてどのようにして農業をつうじた地域振興をはかっていくかという課題について、自治体や農業従事者の皆様への丹念な聞き取りに基づく、地に足のついた提言をおこないました。

プロジェクトD
プロジェクトD

 今年度の最終報告会のフィナーレをつとめたのは、報告「人口減少社会に対応したまちづくり法制に関する研究II」をおこなったプロジェクトAでした。コロナ禍の影響を受けつつも、石巻市、女川町、上山市、紫波町、鶴岡市、花巻市、丸森町および東北地方整備局において実施した聞き取り調査に基づく報告は、まさに足で稼いだ研究成果といえます。人口減少に伴う空き家増加の問題に対応した「空き家バンク」の活用に加えて、空き家が増えた地域そのものを再開発の対象とする「ランド・バンク」という制度を用いて衰退傾向にあるまちを活性化させるという構想が大胆な形で提起され、それをめぐって白熱した議論が展開されました。

プロジェクトA
プロジェクトA

 今年度の公共政策ワークショップIは、コロナ・ウイルスの蔓延という厳しい環境下でおこなわれましたが、学生諸君の忍耐力と行動力、感染拡大防止の諸方策を講じつつ学生諸君を導いた教職員の献身的な努力、そしてコロナ対応により日常業務が困難を極める中でも学生諸君の聞き取り調査に快く応じてくださった省庁、自治体、各種事業者の皆様の御協力によって無事に最終報告会を開催することができました。

 本学の中核科目の実施に御理解と御協力を賜りました関係者各位に改めて御礼申し上げます。

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