東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.3
(2003年10月30日配信)

本日(10/30)、東北大学公共政策大学院ホームページを更新しました。

1)入試(第一次・筆記)の出題範囲のうち民法・行政法について、以下のように一部修正しています。
(修正前)
  民法:契約法、不法行為法
  行政法:行政行為、取消訴訟、国家賠償訴訟
(修正後)
  民法:契約法、不法行為法(契約法及び不法行為法に関係する範囲で、民法総則を含む)
  行政法:行政行為、取消訴訟、国家賠償

2)募集要項・出願書類の郵送取り寄せ方法について、以下のように掲載しています。

募集要項及び出願書類の用紙の配布は、11月末、東北大学公共政策大学院の設置認可が下りた後に行います。それまでは、ホームページ、パンフレット等により、入試に関する情報を提供していく予定です。

募集要項及び出願書類の用紙は、法学研究科の窓口で配布いたします。また、郵便で取り寄せることもできます。

郵便での、募集要項及び出願書類の取り寄せ申し込みについては、以下の要領にて行うことができます。
  1) 申し込み先:〒980-8576 仙台市青葉区川内 東北大学大学院法学研究科教務掛
  2) 申し込み方法:申込者の住所・郵便番号、氏名を記入し510円分の切手(速達料込み)を貼った角型2号の返信封筒を同封し、表書きに「公共政策大学院募集要項請求」(朱書き)と明記して、上記宛郵送してください。
  3)申し込み受付開始日:2003年11月4日(火)

最後に、今回もこの東北大学公共政策大学院の開設に携わっている教員のエッセイをお届けします。

理論と実務の協働とは?

上村直教授より(財務省より出向。前・関税局管理課長)

行政の実務に長年携わってきましたが、日々の仕事の忙しさにかまけて、理論的な角度から仕事を振り返ることが少なかったように思います。これは私個人の心がけや能力の不足に起因するところが大ですが、あながちそれだけとも言い切れず、一般的な雰囲気として理論と実務の間にはやはり距離があるように感じます。理論の知的価値と実務の現実的対処の間には、お互いを尊重するが故に距離を取るといった微妙な心理が働く面があるようです。

しかし、昨年本学に出向する機会を得、これまでに実務で行ってきた仕事を私なりに理論的な角度から振り返ってみると、それまで仕事の過程で何となく感じていたに過ぎなかったものや、あまり意識に上らなかったことが明確に整理され、再把握されるようになることを改めて実感しました。更に、将来の行動のための有力な示唆が提供されることも再認識した次第です。何となく分かったように思っていても、やはりそれを明示的な言葉にすることなしでは、認識や理解は困難なものなのかもしれません。

私は、公共政策大学院が目指す理論と実務の協働の大きな意義の一つがここにあるように思います。「理論と実務の協働」の理想とするものは、おそらく、理論が分析の対象として実務をありのままに受け止め、明確な再把握のための枠組みを提供することにより、実務上の問題を解決に導く仮説的な道筋を示すと同時に、実務がそれらの知識を活用しながら問題解決の実行に取組み、現実の試行錯誤の結果生じた問題状況を再び理論による検討の対象に還元させるという姿ではないでしょうか。

この理想と現状の間には相当程度の間隙があります。従って、「理論と実務の協働」は決してたやすい取組みではありません。しかし、公共政策の理論と実務は双方とも、より良い社会づくりを目標とする問題解決のための人間活動であることに変わりはないと思います。公共政策大学院が掲げる「理論と実務の協働」は、理論と実務の間の距離を縮め、共通の目標に向けて前進しようとする野心的な試みと考えます。

そうじのすきな哲学者にあった。

水町勇一郎助教授(労働法)より

ニューヨークに留学していたときのある日の日記です。

きょうは世界的に有名な哲学者ドゥウォーキン先生の講演を聴きにいった。ドゥウォーキンといえば東北大学が誇る蟻川先生(憲法)のもちネタのひとつに「そうじのすきな哲学者はだーれ?」というなぞなぞがあってその答えになってるひと。「ぞうきん。ずおーきん。ドゥウォーキン」。蟻川先生らしくちょっとムリがあって誰もわからないなぞなぞ。そのなぞの人物にきょうあって「解釈・道徳・真理」というむずかしいお話を聴いてきた。蟻川先生とおなじくらいなぞの人物だったけどコーヒーブレイクのときにちゃんとあいさつをして握手をしてもらった。ちょっとミーハーな気分。

その講演の前のお昼はダウンタウン食べ歩き計画第7弾でまさにアメリカってかんじのシャビーなバーにいった。カウンターのなかにはスキンヘッドでちょっと太ったウェイターがひとり。カウンターにいる客はビリヤードをしながらビールを飲んでる。窓ぎわの席に座って待ってるとスキンヘッドのウェイターがやってきて「何飲む?」ってきいてきた。ビールはおなかにたまる(食べ歩き計画が進むにつれてちょっとおなかがでてきた気がする。お昼ビールのせい?)から赤ワインを飲むことにしてこの店特製のチリソース・ハンバーガーをたのんだ。焼き具合はミディアム。添え物はポテトサラダ。チーズはこってりするからノー・サンキュー。出てきたハンバーガーはやっぱりアメリカンサイズ。びっくりドンキーのハンバーグよりずっと大きい。トマトとズッキーニとレタスをのせてパンにはさむとあごがはずれそうなぐらいでっかくなる。チリソースがきいてて味はまあまあ。値段はワイン込みで$13.10。客が少なくてちょっとあやしいかんじだったけどいかにもアメリカっぽいので7点(10点満点)。バックにはビートルズとかロッドスチュワートとか中学生のころによくきいた曲が流れてた。

東北大学にはこういうのんきな先生もいます。でもまじめに教えます。

<編集後記>

日本で公務員になろうとする場合、通常、客観性に基づく(客観的とは何かはさておき)試験に合格する必要があります。

かたや、国家公務員試験1種試験(法律・経済・行政職)を考えた場合、試験で合格する人々と官庁側が求める人材像の間に総体として見るとズレが生じているのも事実です。

こうした事態を解消しようとして、試験の合格枠を採用枠の2.5倍程度まで拡大し(=試験の合格レベルを下げている)、各省庁の面接(いわゆる官庁訪問というやつです。)の対象範囲を拡大しているという状況です。試験自体よりも面接の相対的重要性が上がっているとも言えます。

このことが主たる理由というわけではありませんが、人事院でも平成17年度採用試験試験(H16夏実施)に向けてI種試験の抜本的見直しを進めているとのことです。
(人事院白書平成14年度版第1編第2章T−4参照 http://clearing.jinji.go.jp:8080/hakusyo/book/jine200302/jine200302_2_009.html )
(全くの余談ですが、中長期的には、キャリア制度が現行のままで存続するとも個人的には思っていませんが、どういう世の中でも公共政策の企画立案や統治機構の管理を担う専門スタッフが政府に必要であることには、変わりがないと考えています。)

東北大学公共政策大学院では、多くの行政官出身の教員が授業を担当しますから、そういう官庁側のニーズも十分斟酌した授業になるだろうと考えています。(少なくとも、僕はそうするつもりです。)

ただ、頭が痛いのは、やっぱり試験に合格しないと、そもそも官庁での面接も受けられないということです。

ですから、東北大学公共政策大学院では、理論的・実務的な能力や高い問題意識を涵養しつつ、かつ、試験対策も十分にできる環境も作っていく、この両面を追求していく必要があります。

学生にとっても大学院自体にとっても大変なことなのですが、何とか両立させていきたいと考えています。
(文責 田口左信)

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