東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.5
(2003年11月27日配信)

2003年11月27日、東北大学公共政策大学院の設置につき、文部科学大臣の認可を受けましたので、お知らせ申しあげます。
まだ、設置準備の半ばではございますが、御協力いただいております皆様に御礼を申しあげます。

本日(11/27)及び11/23に東北大学公共政策大学院ホームページを更新しております。
http://www.publicpolicy.law.tohoku.ac.jp/

更新内容は次のとおりです。
11/27更新分
1) 設置認可を受けて、募集要項の配布開始の案内
2) 募集要項(PDF形式)を掲載
3) 出願書類に関して、健康診断書に係る説明の追加及び募集要項の配布開始に伴う文言修正
4) 募集要項配布開始に伴い、入試関係Q&AのうちA13(入学金、授業料)の文言修正
5) 東北大学における説明会(12/2(火) 12:10-12:55)の開催の案内
11/23更新分
6) 出願書類のうち、健康診断書のフォーマット、身上書のワープロ用フォーマットを掲載
7) 入試関係Q&Aの内容の追加・一部修正
8) FAQ(入試関係以外)の追加・一部修正
9) newsletter過去ログの追加

今回は、広報担当の田口からエッセイをお送りします。

「政策プロフェッショナル」の専門性

田口左信

公共政策大学院は、法科大学院やビジネススクールなどとならんで高度職業人養成のための専門職大学院であるわけですが、法科大学院や会計大学院などと比べると、どういうexpertiseを教育していくのか、わかりにくい人も多いのではないかと思います。(もっとも、「公共政策の企画立案に携わる人に必要な専門性とは何か」が必ずしも確立していないようにも、個人的には感じています。)

しかし、私自身は、その手法等はまだまだ高度化させていく必要があるにせよ、どういう能力が必要かは、政策の企画立案過程に即して考えていけば、結構明確ではないかと考えています。

ざっと考えてみると、

1)様々な情報を収集し、現状を把握・分析し、(公共政策上の)問題点を抽出する能力

2)問題点に対する複数の解決策の立案・比較衡量する能力(当然ながら個々の解決策には、それ自身の論理的整合性や問題を解消する効果はもちろんのこと、他の政策との整合性なども要求されるわけです。)

3)関係者と協議・説得して、合意を形成していく能力

4)(ある政策案が採択された後に)その政策案を法令化していく能力

また、これらの政策形成過程を横断的に必要とされるものに場面場面に応じて、文書化していく能力というのもあります。

お役所というと「煩瑣な文書主義」と考える人も多いかもしれませんが、一定規模以上の社会を秩序立てていくためには、「文書」は不可欠なものだと思います。また、この「文書」の重要性は、政府に限った話でなく、営利企業の組織運営等においても同じことだと思います。
(話は脱線しますが、霞が関で近年よく聞く先輩の愚痴に「最近の若手はペーパーが書けない」とか書けない)」いうことがあります。まさに、法令作成の能力を含め「文書」作成の能力が重要視されているからだと思います。)

ここまで書いてくると、これらの能力は、民間企業でも官庁でも共通して求められる能力ではないかという気がします。(もちろん、私自身は営利企業に勤務した経験がないので、あくまで想像の域を超えませんが)

しかし、「公共政策」の場合、ビジネスプロジェクトと大きく異なる点があると思います。

それは、価値尺度が多元的であり、様々な価値を考慮し、優先順位を考えていく必要があるということだと、考えます。

営利ビジネスの場合、もちろん、労働者の利益や消費者の満足等もあるでしょうが、最も重要な価値は「利潤」であるはずです。

しかし、「公共政策」の場合、追求すべき様々な価値があります。すぐに思いつくものだけでも、「経済的繁栄」、「安全」、「自由」、「平等」などがあります。これらには、金銭どころか数量での計測に適さないものも多くあるように思います。(決して、日本の省庁が多くの政策において、その費用対効果を数量的に説明することをこれまで怠ってきたことを弁護するつもりでもなければ、役人にコスト意識が低いことを弁護するつもりでもありません。)

ともあれ、政策案の立案にせよ、比較衡量するにせよ、どういう価値にどういう優先度を与えるかということを常に考えていかなければならないわけです。非常に困難な作業ですが、最もおもしろい知的作業でもあります。

東北大学公共政策大学院のワークショップ等を通じて、ここに書いたような能力を育成していきたいと思っています。

それがまた、僕自身の行政官としての能力向上にもなるだろうと、密かに期待しています。

P.S.これでは、毎号の編集後記とデマケがつかないですね。
(注:デマケ:霞が関で使用される業界用語です。語源は、英語のdemarcation(境界、管轄)の意味で、「類似の制度との違いをはっきりさせる(ことで、導入しようとしている新たな制度等の存在理由を明確にする。)」というのが本来の意味だと思いますが、僕個人は、「既存の制度と区別の付けようのない新たな制度を『違うもの』と強弁することで(その新たな制度用の予算等を獲得すること)」と理解しています。どちらの解釈が正しいかは、霞が関の関係者にでも聞いてください。)
(文責:田口左信(東北大学大学院法学研究科助教授))

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