東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.12
(2004年12月7日配信)

■平成17年度学生追加募集について

東北大学公共政策大学院では、来年度の入学希望者に対して、 9月25日に第一次試験を、また10月31日、11月1日の両日第二次試験を実施しました。

入学定員30名に対して、2倍を超える入学希望者が受験しましたが、当大学院のアドミッション・ポリシーに照らして、要求される入学者の資質水準に達していると判断された合格者の数は25名となりました。

このため、当大学院においては、今回、新たに若干名について、追加募集を行うこととしました。詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
http://www.publicpolicy.law.tohoku.ac.jp/index.html

また、追加募集において、アドミッション・ポリシー及び合否基準の変更はありません。

■教員エッセイ

今回は、8月に着任された松原明紀教授(前農林水産省農村振興局農村整備課総合整備事業推進室長)のエッセイをお送りします。

変わったもの、変わらないもの

松原 明紀

この8月に久しぶりの仙台に赴任してから4ヶ月になりました。研究室のある川内キャンパスは青葉山(仙台城址)の山裾に位置しており、先月(11月)は青葉山の鮮やかな紅葉が目を楽しませてくれました。

「久しぶりの仙台」と書きましたが、私は約20年前に、本学の法学部の学生として在籍していました。その20年前と比較して「変わったもの」と「変わらないもの」をこのエッセイの題材にしてみます。

まず、「変わったもの」としては、街がきれいになり、かつ、活気が見られることがあげられます。地方経済の地盤沈下が言われる昨今であり、内実は厳しいことと思いますが、他の地域と比較して、仙台では行政当局にも、市民にも前向きに取り組もうとする意欲が感じられます。「東北楽天ゴールデンイーグルス」がやってきますが、このような明るい話題があることはこの御時世で貴重なことです。次に、街を行き交う人々の服装のセンスが良くなったこともあげられます。ただし東北大生(男子学生)は相変わらずの感がありますが・・・。

また、同じ20年の間に、社会経済情勢が大きく変化するとともに、中央省庁においてもいくつもの大きな変化がありました。省庁によって、あるいは人によって異なるかもしれませんが、政策形成のあり方や仕事の進め方に関することとしては、省庁改革(省庁再編のほか、内閣のリーダーシップの強化等の政治主導への転換なども含む。)、地方分権一括法等による地方分権改革の進展、情報公開制度の充実、政策評価の導入などが大きいものではなかったでしょうか。

一方で、私の出身省庁である農林水産省に関しては、農業政策の形成に当たって極めて強力かつ多彩なアクターが登場してくる点において様々な難しさを抱えています。このことはあまり変化していない、「変わらないもの」かもしれません。

このニュースレターの5号に田口先生が政策形成過程を次の4つに分けていらっしゃるエッセイがあります。(直接的には、公共政策の企画立案に必要な「能力」についてのものですが。)

 @ 様々な情報を収集し、現状を分析し、(公共政策上の)問題点を抽出する

 A 問題点に対する複数の解決策を立案・比較衡量する

 B 関係者と協議・説得して、合意を形成していく

 C (ある政策案が採択された後に)その政策案を法令化していく

農業政策においては、現実にはBに大きな力が割かれがちです。幸か不幸か、私は、農産物の需給調整や価格に関する政策(すなわち所得など、関係者の利害に直結するものです。)を担当した経験が長いのですが、それらを思い起こしての実感です。

ただし、「公共政策の形成」とはあるべき姿を追求する営みであることを忘れると、それは「現実との妥協」になってしまいます。この10月から学部において担当している「農業法政策」の講義と演習の準備のために自分の関わった政策も含めて客観的に振り返ってみると、近年は「現実との妥協」を超えようとする取組が目立つようになっている一方で、高い点は付けられないなと思うケースもあります。

来年4月から担当する公共政策ワークショップにおいては、このような私の経験も活かしながら、微力ではありますが、冷静な現状把握と理論的な分析に裏打ちされた公共政策の形成の実体験が可能となるようなものにしたいと考えています。

最後に「変わらないもの」をもう一つ。それは、この伝統ある東北大学のキャンパスに満ちている知的な雰囲気です。再びこの雰囲気の中で、今度は公共政策大学院の意欲ある学生諸君と時間を共にし、議論する機会を持てることを大変楽しみにしています。

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