東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.13
(2005年2月10日配信)

■平成17年度学生追加募集について

東北大学公共政策大学院では、1月29日に追加募集の入学試験を行いました。当大学院のアドミッション・ポリシーに照らして、要求される入学者の資質水準に達していると判断された合格者の数は4名となりました。

■教員エッセイ

今回は、三好信俊教授(前環境省総合環境政策局環境経済課長)のワークショップ報告をお届けします。

其情有余、其詞不足?

三好信俊

手探りで始まったワークショップも早いもので総括の時を迎えています。

今年度開講されたワークショップは4つありますが、その進め方は様々です。私が担当するワークショップでは、調査の過程で学生にそのテーマに密接に関連する国際会議や関連行事の準備過程に参画してもらったことが一つの特徴になったのではないかと思います。このようなことを組み込んだ主たる目的は、学生が実施する調査の内容を充実させるために、その時点での国内外の最先端の知見・情報を得る効果的な機会であるということにありました。しかし、それだけではなく、実体験を通じて、通常の講義では得られないような、実務に不可欠の「何か」を感じ取ってもらいたいという期待もありました。

この「何か」とは、何でしょうか?実は、私もこれが正体だとはっきり示せるものはありません。ひょっとすると感じる一人一人で異なる(べき)ものかもしれず、畢竟「何か」としか言いあらわし得ない性質のもののように思えます。これが積み重なっていくと、「現場感覚」とか「実務知」といわれるようなものに深まっていくのでしょうけれど、たとえそうなったとしても明確に定義できるものとはいえないでしょう。まして今回はいずれにせよせいぜい数日の経験ですから、とてもそこまでは行かないのは当然です。むしろ身近なところで、大学、サークル、バイト先というような学生が通常体験する場とは違う、様々なバックグラウンドを持った社会人とある専門的なテーマについて対等に話す経験を通じて、コミュニケーション(より端的に「言葉が通じる」と言い換えるべきでしょうか)の難しさを感得することができたのではないかと思います。

また、我々が通常会議等に参加するときには、当然のことながら、表舞台が目につきます。しかし、その準備のためにはいわゆるロジ(軍事用語で兵站といわれる)部隊が水面下で大活躍しており、このようなことも実際の準備過程に参画するのでなければなかなか感じ取ることができないものです(あるいは頭では分っても体では分らないといえるかもしれません)。余談ですが、先の大戦で我が国はロジを軽視することはなはだしく、さらに言えば、ロジの軽視は我が国の組織に共通する宿阿とも言われているようです。実際には、学生達は、ある重要な公式文書の起草を任され会議の成功に大きく貢献するなど私の当初の期待を超えた活躍をしてくれたことを付け加えたいと思います。

さていよいよ最終報告書の執筆です。これまでの調査活動を通じて貪欲に吸収し、さらにワークショップ内外の関係者との討議を通じて深めてきた知見をもとにワークショップ生全員の共同作業で書き上げていく必要があります。当然連携のむつかしさというものもありますが、何よりこの段階では、これまで得たものを改めて自分の中で咀嚼し、たとえ途中段階では時間を費やしてきたものでも残念ながら結果として重要でないと判断されたものは捨て去ることも必要になってきます。そしてその判断は学生が自分自身で行うしかありません。誰も(指導教員も)代わって行うことはできないものです。「その心あまりて、ことばたらず」ということにならなければ良いがと願うばかりです。

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