東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.14
(2005年4月25日配信)

■新年度が始まりました

東北大学公共政策大学院では、4月6日、二期生にあたる27名の新入生を迎えてのオリエンテーションを、片平キャンパス魯迅階段教室で行いました。

つづく7−8日には、川渡共同セミナーセンター(宮城県北部にある本学の課外活動施設)で、合宿を行いました。教員がワークショップや講義のガイダンスを行い、先輩の2年生が学生生活についてアドバイスしました。ジンギスカンを囲んでの夕食では、緊張も次第にほぐれ、遅くまで語り合った人も多かったようです。

12日には、当大学院における教育プログラムの要のひとつである「公共政策ワークショップI」が開始されました。行政機関の協力を得て、実務家教員と研究者教員が共同で指導しながら、現状の批判的理解を踏まえた政策提言をめざしての試行錯誤が始まります。今年度に取り組むプロジェクトは次の四つです。

「広域市町村における新たな食料・農業・農村基本政策の推進方策調査」
「保健福祉分野における行政計画と政策評価」
「人間の安全保障」
「白石市の活性化策」

■教員エッセイ

今回は、当大学院の院長である生田長人教授のエッセイをお届けします。

院長のつぶやき

生田長人

いつもより少し遅めですが、今年も、東北に春がめぐってきました。大学で春を感じるのは、やはり、新しい学生をキャンパスに迎え入れたときだというのが、私の実感です。昨年の春、内心は不安と期待が半分半分で、公共政策大学院のスタートを切ったのですが、それがもう1年も前のことかと思うと、少しだけ感傷的になってしまいます。

昨年度は、本当にいろいろなことがありました。これ以上ないと思えるほど準備万端整えてスタートしたにもかかわらず、この1年間はずっと試行錯誤の連続だったというのが正直な印象です。私どもの公共政策大学院がどこの大学院でも試みたことのない教育方法を採用した以上、毎日が、私ども教育スタッフにとって課題の連続で、新しく判断しなければならないことが多いだろうということくらいは、前もって覚悟していたのですが、正直なところ、これほど大変だとは考えていませんでした。大変不遜なことかも知れませんが、これに比べれば、大学での一方方向の授業は、教員・学生どちらにとっても、気持ちの点で楽な感じがします。

このニュースレターを読んでいただいている方は、こう言っても何のことかわからないと思いますし、とても言葉で説明するのは難しいのですが、私どもの公共政策大学院で行われている「ワークシヨップ授業」は、実戦に近い性格を持っていますので、剣道に例えていえば、道場で行われる竹刀での試合ではなく、街角で行われる真剣での決闘のようなところがあります。もちろん、死ぬようなことはないのですが、この1年間、一期生の学生諸君のほとんどは、教員から「死ね!」といわれたような経験をしたはずです。

今年も、公共政策大学院では、新入生を迎えて、2日間の合宿オリエンテーションを行いました。今年も、教員側からの厳しくかつ丁寧な説明があったのですが、今年の目玉は、一期生学生4人による授業や学生生活についてのオリエンテーションがあったことです。新入生は、私たち教員がどのように説明しても、先輩たちの言うことの方を信用しますから、これは極めて効果があったと思います。一期生たちは、後輩のために、1年間の間、どういうことに悩み、どのようにハードルを越えてきたか、この一年間で学び取らなければならないものは何か、といったことについて、教員より遙かに雄弁かつ説得性のある話をしてくれました。

これが、一年前、心細い顔をして私たちの前にいた同じ学生とは、とても思えないほどでした。1年間の成果を、このような形で見ることは、私たちにとってとても嬉しいことです。現在、M2の学生たちの多くは、就職活動や公務員試験受験の最後の追い込みに汗を流していると思いますが、おそらくは、試験官の前で、臆することなく、自分の考えをはっきりと話しているはずです。

彼らがはっきりと変わったと気づいたのは、後期の授業開始後1月位経った頃だったと思います。これも言葉で説明することができないのですが、彼らの「面構え」が変化したのではないかということが教員の間で話題になった覚えがあります。

公共政策大学院で何を学ぶのかという問いに、言葉で答えたものは幾つかありますが、おそらくは、本当のところは、真剣での勝負を通して何を掴んだかという点が最も重要な気がしてなりません。

さて、またまた、時代錯誤的な内容の文章を書いてしまいました。今どき「面構え」などという死語で何かを語ろうとすること自体「時代遅れ」ではないかという気がしないわけではないのですが、公共政策大学院で学んだ学生が、卒業後、この大学院で学んで良かったと感じてもらうことに、私たちは今後も全力を挙げたいと思っています。

このような教育面での努力と同時に、私たちは、この大学院が、地域の行政が直面している様々な課題の解決に貢献できるようにすべきだと思っています。この大学院は、優れた行政官でもある実務教員と優秀な研究者教員を擁しているのですから、その連携(最近はコラボレーションという方が多いのですが)の成果を地域に還元することもまた、使命の一つだと思っています。今年度以降、本格的な取り組みをスタートしたいと考えていますが、これもまた、試行錯誤の連続で苦労が絶えないと思うと、不安感と期待感が交差して、複雑な気持ちになります。

これをお読みいただいた方が、この画面の裏から、院長がブツブツ言っているのが聞こえてくるような気になったとすれば、この拙い文章も、それなりの意味があったのかも知れません。

▲このページの先頭へ