東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.17
(2005年11月24日配信)

■実務経験者を対象とする学生募集のお知らせ

東北大学公共政策大学院では、今回、新たに、平成18年度学生募集の一環として、公共政策に関する実務に携わった経験のある社会人を対象に、若干名の募集を行います。

募集に関する詳細は、近日中に、当大学院のHP上等で公表する予定ですので、正確な内容はそちらをご覧いただきたいと思いますが、その主な点は以下の通りです。

●今回の募集では、応募資格として、大学卒であること等の他、公共政策に関する実務に3年以上携わった経験があることが必要です。例えば、地方公共団体の職員として3年以上在職している場合等がこれに当たります。

●修業年限は、通常2年の原則に対して、1年間で所定の単位を取得し、優秀な成績を修めた場合、1年での修了が可能です。修了者には「公共法政策修士」の学位が与えられます。

●入学者に対しては、徹底的な双方向の少人数教育が実施されます。政策立案に必要な知識、能力、見識等を身に着けることのできる実戦的教育、政策法務に関する教育、広角度からものごとを捉え、地域が直面している諸課題を現実に解決していくために必要な高い実務能力を養成する教育が行われます。

●なお、今回の募集の対象となる学生には、厳しいカリキュラムが課せられるため、就業しつつ勉学を行うことは大変残念ながら困難と考えられます。

この件についての募集要項の公表は12月はじめ、出願受付期間は来年1月はじめ、入学試験は1月下旬を予定していますが、入学希望者から具体的な質問がある場合には応じていますのでご相談下さい。

連絡先:
東北大学公共政策大学院専門職大学院係
〒980-8577仙台市青葉区片平2−1−1
電話 022-217-4945
E-mail お問い合わせ用電子メールアドレス

■教員エッセイ

今回は、西久保裕彦助教授(前環境省民間活動支援室長)のエッセイをお届けします。

正解について

西久保 裕彦

最近テレビのクイズ番組が増えたような気がします。どれもこれも同じような企画だし、回答者も代わり映えがしないので、くだらないと思いつつ結局は見て、いつの間にか答えを出そうと夢中になってしまいます。

「「叫び」という作品で有名なノルウェーの画家は誰でしょう?」という質問に、勢いよく「モンク」と答えたら、「貴方はいつもテレビに向かって文句ばっかり言っているから、そういう答えになるのでしょう」と家内に笑われてしまいました。正解はもちろんムンク(Edvard Munch (1863-1944))です。

クイズ番組には必ず正解というものがあります。世の中の試験のほとんどのものにも正解があります。択一式の試験だと正解が無い問いは間違った問いだということにさえなってしまいます。

秋から主として法学部の学部生を対象に環境政策に関するゼミを行っていますが、ときどき、「先生、このような考え方は正しいのでしょうか?」などと質問されるところを見ると、どうも私に正解を出すことを求めているような気がしています。事前に、立法政策については客観的・絶対的な正解は無いということは話しているのですが、受験勉強向けに良く訓練された優秀な学生ほど、私がどこかに「正解」なるものを隠し持っているのではないかと考えているような気がします。残念でした。そう簡単にはいきません。

公共政策の作成に必要な能力についてはいろいろな考え方があるにせよ、少なくとも何処かに誰かが作ってくれた正解を探し出す能力でないことだけは確かです。出来るだけ正解に近い答えを出すために、自ら努力し探求し、そして関係者を説得するための能力が基本となるのだと思います。

考えてみれば、これは公共政策に限った話ではありません。学生生活を終えて社会に出れば、就職にしろ結婚にしろ、万人共通の正解など無い中で、自分にとって最良の選択を、自ら考え、そして掴むことが必要になります。そうでないとすると、あるネイティブ・アメリカンの酋長さんが言ったように「みんなが私の妻を欲しがる。」などということになりかねません。自ら探求する能力を高めることが出来れば、どのような職業に就くにせよ、充実した人生をおくる上での基盤を作ることができるのではないかと思います。

公共政策に必要な能力を高める上で、もう一つ必要なのは学生の主体的かつ批判的な取組だと思います。学部生対象のゼミの中で「先生、これはドイツではどうなっているのでしょうか?」という質問に対して、私が「そんなことは知りません。」と答えると参加している学生全員にショックが走るのですが、自らの不勉強を棚に上げる訳ではありませんが、そんなことで驚いてもらっては困るのです。何でも先生が答えを教えてくれるという前提を捨て、自ら調べることを中心に据え、先生の言うことが正しいのかどうかを常に疑い、そして自分が納得できる結論を自分で出すことが、公共政策大学院の教育の目指すところだと思います。

東北大学の公共政策大学院で学ぶ機会を得た方々には、以上述べたような考え方を参考にして、主体的かつ積極的に授業に取り組むことを期待したいと思っています。

▲このページの先頭へ