東北大学公共政策大学院Newsletter Vol.21
(2006年5月25日配信)

■2007年度入試説明会のお知らせ

本大学院の入試説明会(2007年4月入学志願者向け)を、仙台・東京・京都で、以下のように開催します。事前予約等不要ですので、お気軽にご参加ください。

仙台

6月7日(水) 12:00−13:00
東北大学法学部2番教室(宮城県仙台市青葉区)
所在地 http://www.law.tohoku.ac.jp/access/

6月28日(水)12:00−13:00
東北大学法学部2番教室(宮城県仙台市青葉区)
所在地 http://www.law.tohoku.ac.jp/access/

7月18日(火)12:00−13:00
東北大学公共政策大学院・第3講義室
(片平キャンパス1号棟2階:宮城県仙台市青葉区)
所在地 http://www.law.tohoku.ac.jp/access/

東京

7月21日(金)18:00−20:00
学士会館本館306号室(東京都千代田区)
所在地 http://www.gakushikaikan.co.jp/info/access.html

7月22日(土)14:00−16:00
学士会館本館303号室(東京都千代田区)
所在地 http://www.gakushikaikan.co.jp/info/access.html

7月26日(水)14:00−16:00
学士会館本館303号室(東京都千代田区)
所在地 http://www.gakushikaikan.co.jp/info/access.html

京都

7月21日(金)18:00−20:00
京大会館103号室(京都府京都市左京区)
所在地 http://www.kyodaikaikan.jp/access.html

7月22日(土)14:00−16:00
京大会館103号室(京都府京都市左京区)
所在地 http://www.kyodaikaikan.jp/access.html

■教員エッセイ

今回は、松原明紀教授(農林水産省より出向)のエッセイをお届けします。

実務家教員による講義の企画立案過程

松原明紀

桜の季節が終わり、ゴールデンウィークが過ぎると、仙台市内は「青葉」の季節となります。仙台駅から一番町に向けて伸びる青葉通り(大学院のある片平キャンパスは青葉通りと一番町の交差点からすぐのところにあります)も文字どおり「青葉」にあふれ、仙台では最も過ごしやすい季節になりました。

さて、今年度の東北大学公共政策大学院では、昨年より早い4月3日に新入生オリエンテーションが魯迅教室で開催されました。魯迅がいつも座っていたとされる席に座ろうとする学生はいなかったものの、それぞれにこれからの希望に満ちた2年間を想っていようように見受けられました。

今年度の新入生オリエンテーション及び翌日から行われた合宿オリエンテーションについては、私が企画運営を担当しました。また、入試説明会に用いるビデオの素材を集めるため、これらの場でのDVカメラによる撮影も仰せつかりました(人使いが荒いようですが、外注するよりは、大学院のコンセプトを理解している者が担当する方がよいとの考え方に基づくものです)。このビデオは7月に各地で開催される入試説明会で使用します。さすがにビデオの編集は外注しましたが、前院長自ら執筆のシナリオということもあり、手作り感満載ですので、是非説明会に来ていただきたいと思います。

本大学院の主要科目である「公共政策ワークショップT」も4つのグループに分かれてスタートしました。私は今年度は担当していない(1年担当するとへとへとになります)のですが、合宿オリエンテーション(夜の部)で会話した学生諸君からは、公共政策ワークショップTへの期待の大きさが感じられたところです。

ところで、ニュースレター購読者の皆さんは既にお気付きでしょうが、本大学院のカリキュラムは内容、構成ともかなり特徴のあるものとなっています。「公共政策ワークショップ」を中心に据えていることに加え、他の「コア・カリキュラム」等の主要科目については、「○○法」、「○○学」、「○○論」といったシンプルな名称ではなく、内容を表すような名称になっているものが多いことにお気付きになると思います。これらの科目は単に名称に凝っているのではなく、本大学院設立の趣旨や養成したい人材がいかなるものであるかを踏まえた上で、既存の研究者養成プログラムとしての科目とは異なる内容のものとして企画されており、内容を的確に表すとこのような名称になると理解してください(設立に当たって様々な議論が行われたことについては、ニュースレター1号の牧原先生のエッセイを参照してください)。

したがって、科目数については、数を揃えるよりも、必要十分なものを厳選して準備してあります。その一つ一つが理論と実務の双方に対して深い理解と洞察力を有する「政策プロフェッショナル」の育成を念頭に考え抜かれたものになっていると理解していただきたく思います。

僭越ながら、私の担当講義を取り上げてみます。

私は今年度前期は「政策体系論」を担当しています。この「政策体系論」は、学生向けの「履修案内」では、「実務家教員ないしは政策専門家による授業で、政策実務を明晰かつ平明な『体系』として教授するとともに、事例に則して、体系の現実的意味の理解をも目指すものです」とあります。これまでの2年間で健康政策、都市法、環境政策の各分野で開講され、今年度は、西村先生の「国際人権・刑事法政策体系論」とともに、私の「食料・農業・農村政策体系論」が開講されていますが、上記の趣旨を踏まえると、私の政策体系論もありきたりの内容では済ませることができません。

そこで、「食料・農業・農村政策体系論」については、以下の5点を意識して講義を企画しました(以下については、すべての政策体系論がそのように企画されているわけではなく、対象政策分野により異なって然るべきものであることをあらかじめ申し上げておきます)。

@ 政策実務を志す者を対象にする以上、対象分野の現状及び問題点並びに現行政策の体系及び内容の正確な理解がまず前提となることに留意する。

A 食料・農業・農村の分野においては、幸いながら、政策の理念と基本方向を規定した「食料・農業・農村基本法」が存在するので、この体系を基本に据える。

B この体系を説明するに当たっては、基本法→基本法に基づく「食料・農業・農村基本計画」→立法や予算措置の形で実現される個別具体的な政策、といった流れ(政策立案者の思考の流れでもあります)を重視する。

C 現行の政策を平板に解説し、又は一方的に批判するのではなく、政策立案者の立場に立って、立案背景も含めながら解説する。ただし、自慢話や単なる経験談にはしない(ニュースレター18号の牧原先生のエッセイを参照)。

D @からCのみでは、理論的な理解及び批判的考え方の涵養には十分でないおそれがあることから、現行政策への反対意見を適宜紹介するほか、各界の意見が分かれやすく、かつ、深層に立ち入った理解が求められる具体的なテーマ(食料自給率向上目標を掲げることの是非及び株式会社に農地取得を認めることの是非)を設定し、学生間のディベートを行う機会を設ける。

開講以来2ヶ月になりますが、正直言ってこんなに大変とは思いませんでした。既存の書物を用いたり、学問上の到達点と出来上がった政策、それに対する批判を淡々と話している方が楽であったことは間違いありません。しかし、本大学院の雰囲気に加え、他の教員や公共政策を志している学生はそれを許してくれないことは、ここまでお読みになってきた皆さんには既におわかりになっていることと思います。また、政策立案者としての立場を重視した解説を行う中で、現行政策を所与のものとして取り扱いそうになることは戒めるべき点ですが、かっての同僚が苦労しているのを知っているだけに、一方的に批判を加えるのも気が引けます(今夏に農林水産省に復帰する私としても、ついつい矛先が鈍りそうになります)。この点は、他の実務家教員の先生方も苦労しているところだろうと推察しますが、私としては、割り切って、客観的な第三者として是々非々で臨むように心がけているところです。

着任以降の2年弱を振り返ると、我が国の「公共政策大学院」の取組については、各大学院が様々な企画を行う中で、それぞれの特徴が次第に明らかになってきたようです。工夫を凝らしたホームページやパンフレットが作成されており、公共政策大学院を志望するに当たっての判断材料も揃ってきました。そのような中で、志望者の皆さんが何を重視するかはそれぞれでしょうが、近々新装となるホームページやパンフレットから、また、ニュースレター掲載の教員エッセイなどから、東北大学公共政策大学院のスタンスを読み取って評価していただければと思います。

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