東北大学公共政策    

ワークショップD 活動報告

ワークショップDでは、「パラリンピックのレガシーとしてのダイバーシティ&インクルージョン都市の形成に向けた研究」をテーマに、これまで文献調査と併せ、提言先である秋田県大館をはじめとした、さまざまな自治体など関係機関へのヒアリング調査を行ってまいりました。今回の研究に際しまして、先生方や東北大学の事務の方々など関係各所からご高配を賜り、無事に1年間のプロジェクトを終えることができました。ワークショップD一同この場をお借りして改めて御礼申し上げる次第です。
また、お忙しい中我々のヒアリングにご協力くださいました、大館市の職員の方々をはじめとする関係機関の皆様のご厚意と、ワークショップのチューターとしてご助力賜りましたM2のコーエンズさんと中野さんにも厚く御礼申し上げます。

 

ワークショップDは、担当教員の御手洗潤教授、副担当教員2名(飯島淳子教授、後期から江口博行教授)学部卒院生7名と社会人院生1名、チューター2名(M2の院生)の多様性のあるチームが編成されました。

(WSD集合写真:6月・大館市役所市長室)

 

Ⅰ . 前期

御手洗教授による東京オリパラやD&Iなどについての講義から始まりました。まずは、学内において東北運輸局の方をお迎えしての講義やヒアリングの実施、毎回のWSで課される課題などインプットを中心に行いました。その後、仙台において実際に車いすに乗りまち歩きを行いました。この時感じた障害のある方の視点はとても新鮮で、研究を進める上でとても重要な経験となりました。
6月には提言先である秋田県大館市において、1日目はヒアリング調査、2日目はボッチャ体験会の実施やまち歩きを行いました。この時行ったボッチャ体験会がWSDが政策提言だけでなく政策の実施者として活動していくきっかけとなりました。会場に来ていただいた方々にどうしたらボッチャ体験会に参加してもらえるか、どうしたらアンケート調査に協力していただけるかなど政策実施者としての視点を学ぶことができました。

講義や文献調査などインプットだけで得られる知識だけなく、学んだ知識を実際の現場どう活かすか、頭の中で考えていたことと実際の現場との違いの発見などから得られる「現場知」は、地に足のついた政策提言をする上でとても重要となります。

(仙台市まち歩きの様子)

(ボッチャ体験会:石田ローズガーデン)

 

福島市へのヒアリング調査やまち歩きも行いました。福島駅にはボッチャ用具が整備されており驚きました。

(福島市まち歩き:パセオ通り)

また、織田友理子様(一般社団法人WheeLog代表)や増子恵美様(福島県障害当事者スポーツ協会)へのヒアリング調査も行い、障害当事者の視点やよりリアルな声、生活する上での課題を知ることができました。

 

Ⅱ . 報告会Ⅰ(中間報告会)

「東京2020大会は何をもたらす?」という問いから始まる79枚のスライドと参考資料を用意し、対面での報告と質疑応答に臨みました。スライドはUDフォントや写真の活用により、見やすく、誰でも理解しやすいよう工夫しました。また、報告の構造や言葉の定義、研究する対象の範囲の検討にも非常に多くの時間を費やしました。「どうすれば伝わりやすいか」「対象はどこまで含めるか」とWSD全員で議論した非常に密な時間は忘れられません。質疑応答のやりとりでは、院生や教授の方々から最終報告へ向けた重要な示唆を頂きました。

 

Ⅲ . 後期

ヒアリング調査や現地調査が中心となりました。川崎市、江戸川区など先進的な取り組みを行っている自治体やスポーツ庁等の国の役所に足を運んだり、オンラインでヒアリングをしたりしました。また、2度目の大館市へのヒアリング調査や現地調査を行いました。特に現地調査時、相乗り交通システム「大館版mobi」を体験したことは、ヒアリングや文献調査だけでは知ることのできなかった課題の発見にもつながり、自分の目で観察する大切さ、「現場力」を身につける非常に良い経験となりました。

(ヒアリング調査の様子 左:川崎市、右:江戸川区)

 

また、多くのボッチャ体験会を実施しました。特に、仙台で行ったボッチャ体験会においては、配ったチラシはなんと合計5160枚!、体験者数はなんと延べ1106人!でした。体験者は特に家族連れが多く、性別や年齢、国籍、障害の有無を問わず多様な人々に参加していただくことができました。仙台において多様な人々の交流を生み出すことができ、微力ながら仙台市民の皆様に心のバリアフリーを考えていただくきっかけづくりができたと感じております。

(ボッチャ体験会の様子)

 

Ⅳ . 報告会Ⅱ(最終報告会)および最終報告書作成

最終報告会には、なんと大館市の福原淳嗣市長にお越しいただき、報告を聴いていただきました。報告後には、非常に力のあるコメントをいただき、WSD一同1年間頑張ってきて良かったと努力の報われる思いでした。また、オンラインにおいても大館市の職員の方々をはじめ、これまでヒアリングを受け入れてくださった多くの関係機関の方々にも視聴して頂きました。この場をお借りして改めましてWSD一同感謝申し上げます。

報告会は、98枚のスライドと参考資料を用意し、中間報告会同様対面での報告と質疑応答に臨みました。構造は、総論・各論・まとめ、と非常にわかりやすくシンプルにすることを意識しました。

また、中間報告会に比べ、総論の部分を簡潔にまとめつつ、かつ論理的説得力を持たせることを意識いたしました。特に「なぜ大館市を提言先としたのか」「WSDは研究を通し何を目指すのか」「なぜそのような政策・施策が必要なのか」について、夜遅くまでWSD全員で共に考え抜いた時間や経験は、今後忘れることは無く、またこれからの糧となると確信しております。

提言の数はなんと合計25!にも及びました。公共の歴史でこれほど多くの提言や具体的施策を報告したワークショップはおそらく無いのではないでしょうか(?)。しかし、これでもボツになった提言や具体的施策は山ほどあり、おそらくWSD全員が「これでもだいぶ削ったよ(笑)」と思っています。

(WSD提言まとめ)

 

年明けからは、ヒアリング記録の確認や、最終報告書の加筆修正に力を注ぎました。最終報告会での質疑応答で得られた知見や指摘、コメントを再度確認しつつ提言のまとめに取りかかりました。この1年間の総復習を行い、各メンバーが確かな成長と成果を共有しつつ、最終報告書を完成することができました。

 

Ⅴ . 大館市での報告会

2月10日、WSD12名(教員、チューター含む)、東北大学公共政策大学院の西岡院長、坪原和洋教授、藤田一郎教授、石山英顕教授、安藤理智学術研究員の総数17人を乗せたバスは秋田県大館市へと向かっていました。当日は辺りを見渡すと、雪!雪!雪!というような感じで、これぞ秋田県という雪景色を肌で感じることができました。

報告会は、なんと福原大館市長にもお越しいただきました。報告に加え、職員の方々をはじめとする参加された皆様と意見交換やディスカッションを行い、WSDの研究内容を改めてお伝えすることができました。最後には、WSDメンバーそれぞれが、大館市への感謝などこれまでの思いを述べ、報告会を無事終えることができました。

(報告書贈呈式)

 

当日夜は、一番楽しみにしていたと言っても過言ではない?(笑)、食事会を開いていただきました。秋田県大館市名物の「きりたんぽ鍋」を堪能し、大館の魅力を実感することができました。もちろんその他にも、忠犬ハチ公(秋田犬)が生まれた地であり、豊かな自然が魅力です。参加者全員が、また大館市に来たい、と思ったはずです。

(もちろん、感染症対策はしっかりと行いました。)

また、2日目は、大館市伝統のお祭り「アメッコ市」に参加いたしました。

 

(左:食事会の様子、右:アメッコ市)

 

さいごになりますが、改めて2021年日本最大の出来事である東京オリンピック・パラリンピックは何をもたらすのでしょうか。1964年の東京大会が好事例ですが、オリパラには「社会を変える力」があるといわれており、特にパラリンピックをきっかけに我が国に「共生社会」を実現しようという取り組みがこれまで数多く行われてきました。しかし、オリパラが終わった今、「真の共生社会を定着させることができるのか?」「あるいは過去のものになってしまうのか?」。是非皆様にも考えていただきたいです。

この点、タイのボッチャチーム(金メダリスト)の合宿を受け入れ、オリパラ終了後も海外パラリンピアンとの交流を続けつつ共生社会を目指している先進都市の一つに、「秋田県大館市」があるということをこの記事をここまで読んでくださった皆様には忘れないでいただきたいです。

Ⅵ . 東北大学公共空間ボッチャプロジェクト D&Iについて

WSDでは、大館市等を一つのフィールドとして、都市レベルでのD&I社会を実現するための具体的な政策提言をいたしました。また、第三者・研究者の立場で調査・提言するだけでなく、私たち自らがプレーヤーとなることで、政策実施者の立場を経験し、生きた提言をすることができました。

今後も、ボッチャ体験会を継続していく予定です。この点「東北大学公共空間ボッチャプロジェクト D&I」では、新メンバーを募集しております。皆さんも私たちと一緒に「ボッチャ」を通じたD&Iのまちづくりを実践してみませんか?ここまで読んでくださった皆様のご参加をお待ちしております!

 

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