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教育活動

東北大学公共政策大学院のカリキュラム

東北大学公共政策大学院のカリキュラムは、「必須科目」、「基幹科目」、「展開科目」より構成されています。

履修の流れは、以下の図のようになります。

1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期
必須科目
(政策調査と論文作成の基礎、公共政策ワークショップI
必須科目
(公共政策ワークショップI
必須科目
(公共政策ワークショップIIA)
必須科目
(公共政策ワークショップIIB)
基幹科目 基幹科目 基幹科目 基幹科目
展開科目 展開科目 展開科目 展開科目

1.必須科目
(1年次・2年次配当、22単位)

「必修科目」は、「公共政策ワークショップI(12単位)」および「公共政策ワークショップIIA・B(計8単位)」ならびに「政策調査と論文作成の基礎(2単位)」です。

・公共政策ワークショップ(1年次・2年次配当、計20単位必修)

基礎的な科目の履修と並行して、学生は「公共政策ワークショップIII」を履修し、現実の政策課題を自ら調査し、解決策を立案する実務研修を2年にわたって行います。

1年次では、「公共政策ワークショップI」を通年履修します。ここでは、中央官庁・地方自治体などの各種団体・組織(以下、「プロジェクト機関」と呼ぶ)との協力関係を結び、それらが抱える政策課題への解決策を立案するため、実務家教員・研究者教員の指導の下、6〜8名程度の学生がグループ作業で、政策課題の具体化・行政機関へのヒアリング・現場調査・統計データの収集を行いつつ、討論を繰り返して、解決案を作成します。

解決案は、プロジェクト機関の担当者ないしは学外の実務家の前でプレゼンテーションされ、さらには最終報告書として提出されます。最終報告書(そのプレゼンテーションを含む)に基づいてグループ単位の評価を行った上で、個々の学生のワークショップにおける活動状況等により成績が評価されます。

国際機関を対象とするものを除けば、「プロジェクト機関」を仙台市近辺のものとすることによって、学生が臆せず「プロジェクト機関」と接触できるよう配慮するとともに、身近な政策課題を調査対象とすることによって、学部卒の学生が円滑に政策実務に取り組めるよう配慮しています。

2年次では、学生は「公共政策ワークショップIIA・B」を履修します。これらは、それぞれの学生が担当の実務家教員・担当者教員と相談しながら独自の政策課題を選択するものです。

政策課題は、当初から「プロジェクト機関」を特定せず、国ないしは国際レヴェルの大規模なイシューを学生が自ら調べて、各自が設定します。「公共政策ワークショップI」で調査の基本的な技法を習得した学生は、担当の実務家教員・他の学生と十分な討論を行いながら、中央省庁の本省庁さらには諸外国の国際機関本部などに自ら足を運んで担当者と接触し、現場で自ら調査を行うことによって、調査技法及び実社会での交渉技術の一層の向上に努めます。

調査の成果は、逐次中間報告の形で各セミナーで討論に付され、綿密に議論を重ねていくことによって、学生の相互啓発を促し、その意味でグループ活動としての要素をとりいれます。その成績は、リサーチ・ペーパーと口述試験によって評定されます。

・政策調査と論文作成の基礎(1年次前期配当(集中)、2単位)

入学直後において、学生は「政策調査と論文作成の基礎」を履修し、公共政策大学院の学修と研究に必要な調査及び論文作成のための基礎的な技法を習得します。論理的議論の組み立て方や論文のフォーマット、効果的なプレゼンテーションの実践、政策情報の収集法、統計データの作成と解釈、法的枠組みを把握するための方法、調査の成果を報告書や論文としてアウトプットするための方法などを学びます。

ここでは、法学部出身の学生のみならず、理科系を含めた他学部出身の学生にも配慮した教育を行い、すべての学生が円滑に履修を行えるよう十分留意しています。

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2.基幹科目
(1年次・2年次配当、18単位まで選択必修)

学生は1年次より、必修科目とは別に、「基幹科目」の諸科目を履修することが求められます。「基幹科目」は法律学、政治学、経済学などの分野からバランスよく構成され、このうち18単位が選択必修となります。

「基幹科目」に配当されている授業は可能な限り学際的であることが目指され、複数の法領域・政策領域に関わる問題を多角的な学問領域から分析するように配慮されています。科目によっては、研究者教員、実務家教員との連携・学外の実務家による講演なども交えて行われます。

また、将来行政・政治に関わる公人となることが期待される学生には、公共性についての理解を深め、現象の背後に存在する理念的・価値的な問題についての洞察力を涵養することが求められます。したがって、学生には、研究者教員の指導の下で、大量の研究文献のリーディング・アサインメント及びターム・ペーパーが課せられることもあります。

さらに、多様な政策領域についてより深く理解するために、実務家教員ないしは政策専門家による政策体系についての授業も開講されます。これは、政策実務を明晰かつ平明な「体系」として教授するとともに、事例に即して、体系の現実的意味の理解をも目指すものです。政策実務の授業を、単なる平板なスキルの問題としてではなく、「体系」的・理論的深みを備えた問題として理解することが、この授業のねらいです。

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3.展開科目
(1年次・2年次配当、自由選択)

「必須科目」及び「基幹科目」の履修と並行して、学生は必要に応じて、より高度な社会科学の専門知識を習得し、または理科系の諸学を含めたより広範な領域にわたる政策学について学びます。なお、「関連科目」として会計大学院の授業を履修することもできます。

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「リサーチ・ペーパー」に係る評価基準

東北大学大学院法学研究科専門職学位課程公共法政策専攻(公共政策大学院)に係るディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーを受け、「リサーチ・ペーパー」に係る評価基準を、以下のように定める。

1.満たすべき水準

 公共政策の分野における高度専門職業人である「政策プロフェッショナル」に相応しい専門知識を修得し、公共政策に関わる職業を担うための深い学識及び調査・研究での卓越した実務能力を証示するに足るものであること。

2.評価項目

  1. ペーパーの主題を究明し、政策提言を行うことに、社会的・学問的な必要が認められる。
  2. 調査・研究対象である主題に即した研究方法が選択されている。
  3. 調査・研究対象が、広い視野 (歴史的・分野横断的・国際的な文脈)の下に捉えられている。
  4. 豊かな学識と高度の専門的知識・技能を修得しており、それに基づいて、公共政策の分野において自立して独創的な調査・研究を遂行し指導できる能力、又は、高度に専門的な職業に従事できる能力を有していることが示されている。
  5. 先行研究を踏まえた検討が行われており、関連する文献・史資料を的確に収集・処理・引証し、その出典を明確に示している。
  6. 論旨が明快で一貫しているとともに、適切な表現によって論述されている。
  7. 既存の調査・研究には見られない独創的な分析、解釈、提案等を行っており、当該学界又は専門職における議論の深化・発展に貢献し得る、先導的な学術的又は実践的意義を有している。
  8. 口述試験において、ペーパーの内容を適切かつ十分に伝えるプレゼンテーション能力、および質疑応答を的確にこなすコミュニケーション能力を示すこと。

3.審査委員の体制

 審査委員は、公共政策大学院に属する専任の担当教員を含め、2人以上とする。但し、1年次修了の場合には3人以上とする。また、必要と認めるときは、本学法学研究科・他研究科あるいは他大学の大学院等の教員等を審査委員として加えることができる。主査は本大学院に属する専任の教員のうちから定める。

4.審査の方法

 リサーチ・ペーパーを提出した者に対して、論文審査及び口述試験を行い、上記の評価項目により総合的に評価する。

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