20周年記念メッセージ|鹿子生浩輝先生|東北大学 公共政策大学院
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鹿子生浩輝先生

東北大学公共政策大学院「20周年に寄せて」

東北大学公共政策大学院は、設立20周年を迎えることができました。これも、教職員などのスタッフや現場の多くの方々のご尽力・ご協力のおかげだと感じています。関係者の方々に心よりお礼申し上げます。さらに、そうしたスタッフ等の期待に応えるべく学生たちが在学中、絶えざる努力を重ねてきたこと、また、彼ら彼女らが大学院修了後に社会人として各分野で活躍していることも、ここで銘記すべきことだと思います。

この節目の年を迎えるにあたり、本大学院の意義を考えてみますと、その一つは、専門知識と実務能力を持つ人材の育成にあると言えるのではないでしょうか。実務家教員の指導のもと、政策の企画・立案、実施、評価の一連のプロセスを体系的に学ぶことで、学生は、現実の政策形成に必要なスキルを習得することができます。さらに、こうした実践的訓練を重ねるのみならず、学生が研究者教員のサポートを受けつつ、現実的課題に理論的・学術的視点から取り組むことで、理論と実践が融合された総合的な知を構築することができると考えられます。

東北大学公共政策大学院の特徴の一つは、ワークショップです。これは、学生がいくつかのグループに分かれて、それぞれのグループで文献研究やヒアリングを積み重ね、最終的には各グループのテーマに即した政策提言を行う共同作業です。共同作業ですから、個人的研究とは異なり、そこには様々な意見があり、当然それらが対立する場合もあります。しかし、こうした共同作業の場は、自分の見解とは異なる見解があることに気づき、従前の自身の見解を反省的に振り返り、必要であれば、柔軟にそれを変更するという形で自らの知性を広げていく場になると思います。現場からの声に真摯に耳を傾ける姿勢も、何より自分自身の知的・倫理的資質の改善にとって有意義であり、まさにそうした資質は、公共政策大学院でこそ陶冶されるものでもあります。

私は、2017年から公共政策大学院の活動に関与してきたにすぎませんが、この20年間の活動は、社会に少なからぬ貢献を果たしてきたと確信しています。今後も本大学院は、地域から国際社会にまでの多様な分野で実践的で先進的な政策提言を行うリーダーの育成を目指していきたいと思っています。

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