西久保裕彦先生(2005年〜2007年 環境省より)
長崎大学総合生産科学域(環境科学領域)教授
「20周年に寄せて」
長崎大学環境科学部教授 西久保 裕彦
20周年おめでとうございます。私は環境省から出向して2005年7月から2年間実務家教員として勤務しました。2005年度は公共政策大学院設立2年目に当たるので、私が着任したときはまだ修了生はおらず、大学院の各種業務を「走りながら準備する」感じだったので仕事はたくさんありました。
といっても司令塔は故生田長人院長で、私は生田院長の指示で様々な雑務を担当する兵隊の一人として働いていました。生田先生は大学院教育の理想を高く掲げた立派な方で私は深く尊敬申し上げていましたが、一方で結構面倒くさいおじさんでもありました。具体例をあげると、依頼された仕事の状況を報告しようとメールを送っても読んでいただけないので、どうなっているのか質問すると、「未読メールが沢山あると鬱陶しいので、全部削除しています。」とおっしゃるのです(!)。仕方がないので、生田先生の授業の終了時間に教室の前でよく出待ちしていたことを思い出します。
私たち教員は、大学院での2年間の体験で、学部卒で例えば公務員になって2年間の実務を経験することを凌駕する成長を学生にもたらす必要があると考えていましたし、ワークショップ1も、各ワークショップは役所の一部署で、そこに上司である教員と部下である複数の学生がいるというような設計だったので、あたかも役所で部下に接する感じで厳しく指導に当たりました。一方で、食事会や飲み会も頻繁にありましたし、我が家に学生のみなさんを招待して食事会を開いたり、学生主催の芋煮会に家内と一緒に参加させていただいたりして、教員と学生の距離が非常に近い大学院だったなと感じています。
あれから十数年が経過し、当時の私の教え子が経験豊かな行政官となって、母校の大学院のパンフレットに私の指導の話を書いてくれたり、また、非常勤講師として担当している行政について講義をされたりしているのを見ると、教員冥利につきると感じています。
今後も大学院がますます発展して、社会に役立つ貴重な人材を輩出されることを願ってやみません。

家内と一緒にワークショップ1の学生主催の芋煮会に参加