仙台 光仁先生(2018年~2021年 農林水産省より)
農林水産省中国四国農政局 局長
20周年そしてその先に寄せて
~学生とともに教員も育つ公共政策大学院~
公共政策大学院創設20周年、誠におめでとうございます。
2019年から2021年まで農林水産省から実務家教員としてお世話になりました。東北大学公共政策大学院の目玉であるワークショップを二度担当できたことが、大変幸運でありかつ充実した3年間だったと今でも感慨深く思っております。
先述した二度のワークショップは180°違う性質のものでした。一度目は農林水産政策のワークショップとしては珍しい国際をテーマとしたもので、学生と一緒になって東北各地はもとより海外にも飛び出すというものであり、逆に二度目はコロナの真っ只中とあって行動の自由が全くきかないハンデを最新テクノロジーで乗り越えてバーチャルフィールドワークもするという新しいワークショップの形を編み出すものでした。この全く違った感動と学びを学生と共に体験できたことは、自分にとっても一生の宝となっています。
政策提言という答えをだそうと懸命に努力する学生に寄り添い、指導というより一緒になって考えたあの日々は私にとってかけがえのない時間となりました。今、農林水産省の地方支分部局である中国四国農政局にいますが、農林水産省の中で国民に最も近い組織、最前線での仕事は、ワークショップに通じるものがあり、時々既視感に襲われます。
修了生、そして未来の修了生の方にお伝えしたいのですが、東北大学公共政策大学院で学んだことは本物の実力となります。今年、国の農政の憲法とも云える食料・農業・農村基本法が四半世紀ぶりに改正されましたが、私の担当した皆さんがワークショップで出した政策提言については、その新基本法の具体策として採用されてもいいぐらいのものと自信をもって言えます。時代を先取りしたアイディアを生み出した努力、生み出せる能力を誇りに思って下さい。公共政策大学院の修了生が実社会で出している答えが、我が国の社会を変革し、将来を導いてくれつつあります。今後もそうした公共政策大学院OB・OGが増えていくことでしょう。
このように学生も教員も大いに成長できる東北大学公共政策大学院ですが、次の20年は是非、ワークショップの方式自体もバージョンアップした上で、時代の変化を先取りしたカリキュラムに絶えず進化させていただきたいと思います。そして、我が国の将来、そして世界の未来すら背負って立つ人物を輩出しつづけることを願ってやみません。
むすびに、多くの先生方にお世話になったことについて御礼を申し上げさせていただきます。ワークショップをともに指導してくださった伏見岳人先生、若林啓史先生、今西淳先生、藤岡祐治先生にはどのようなお礼の言葉でも足りないほどお世話になりました。そして、飯島淳子院長のもとで副院長として大学院の自体の運営にも関与できたことも忘れ難い思い出です。官僚組織と云うタテ社会と全く別の教員間というフラットな社会の中、クセのある先生もおられる中、物事を通して行く経験も代えがたいものでした。改めて先生方、誠にありがとうございます。そして、今、在籍されている先生方におかれましては、この先の東北大学公共政策大学院をよろしくお願いいたします。