東北大学公共政策    

2023年4月入学用(第2期募集)試験問題(小論文問題)

東北大学公共政策大学院入学試験(令和5(2023)年度第2期募集)
小論文問題(令和5年1月12日―1月13日実施)

次の4題のうちから1題を選んで論じなさい。

【内政関係】

1.近年、人口構成の変化、科学技術の進展等による我が国の社会情勢の変化や我が国を取り巻く国際的な情勢の変化の中で、様々な治安課題が出現している。こうした状況を踏まえ、政府は我が国を世界一安全で安心な国とすべく関係施策を取りまとめた新たな総合的な戦略として「「世界一安全な日本」創造戦略2022(令和4年12月20日犯罪対策閣僚会議決定)」を策定した。

当該戦略や関係省庁の白書等を参照しつつ、重点的に実施する必要性が高い施策をその理由とともに具体的に例示し、その施策により今後の5年間で改善できる課題やその参考となる指標について記述するとともに、そのデメリットも踏まえ、それでもなおその施策を実施すべきとの立場から、どのような説明を尽くすべきかについて、あなたの考えを述べなさい。

 

2.多様な外国人(日本国籍を持たない者、以下同じ)の受入れ加速と、それに伴う国内居住の外国人の増加を背景として、外国人との共生社会の実現がますます重要な政策課題と認識されている。「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」および「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和4年度改訂)」が、令和4年6月14日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において決定されたことは、この認識を反映するものと位置付けられよう。

出入国管理行政は日本国が行う事務であり、言うまでもなく深刻な課題を多く抱えているが、日本に現に居住している外国人住民を地域に抱える地方公共団体が直面する課題もまた多岐にわたり、早急かつ実効的な対応が求められている。総務省が公表している「地域における多文化共生推進プラン(改訂)(令和2年度9月)」や「多文化共生事例集(令和3年度版)」は、現に試行錯誤を重ねる地方公共団体の取組みを支える、あるいは反映するものと言える。

以上を踏まえて、地域における外国人との共生に伴い生じる課題とそのための取組みについて、具体例を指摘しつつ分析し、今後、都道府県、市町村、地域社会それぞれがどのような対策を講じるべきか、あなたの考えを述べなさい。

 

【経済関係】

3.日本銀行は、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」(日本銀行法2条)中央銀行として、わが国の金融政策の中核を担ってきた。特に、同行は、1990年代末から、各国の中央銀行に先行して非伝統的な金融政策を打ち出してきたと評されるほどに積極的な動きを見せているし、また、2012年12月に発足した第2次安倍内閣が「アベノミクス」と称される経済政策を打ち出すと、それを後押しする金融政策を次々と打ち出してきた。

以上を念頭に置きながら、1990年代末から現在に至るまでの日本銀行の金融政策を素描し、その成功した点及び失敗した点についてあなたの評価を述べたうえで、後者の原因について検討しつつ、改善のための方策についてあなたの考えを述べなさい。

 

【国際関係】

4.ロシアによるウクライナ侵略後、多くの国がロシアに対して制裁等の措置をとるとともに、ウクライナに対する支援を実施した。日本政府はロシアとウクライナに対して今後どのような対応を行っていくべきかについて、これまでに行ってきた対応の内容に触れつつ、対応を行う上での既存の法的・政策的な枠組みを踏まえながら、あなたの考えを述べなさい。

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