東北大学公共政策    

2026年4月入学用(第1期募集)試験問題(小論文問題)及び出題趣旨

東北大学公共政策大学院入学試験第1期募集
小論文問題及び出題趣旨(2025年9月27日実施)

次の4題のうちから1題を選んで論じなさい。

【内政関係】

1.

気候変動は世界が直面する最も深刻な問題の一つである。我が国は、本年2月に新たな地球温暖化対策計画を閣議決定し、その中では、温室効果ガス排出量の2050年ネットゼロ(カーボンニュートラル)の実現に向けて、従来の2030年度目標(2013年度比△46%)に加えて、2035年度(同△60%)と2040年度(同△73%)の目標が決定された。

(1)当該中間目標の検討にあたっては、実際に決定された下図の「②直線の経路」に加え、「①上に凸」、「③下に凸」の経路も議論の対象となった。①及び③を主張する根拠及びそれらへの反論として考えられる事項を挙げるとともに、②の直線の経路を採用する意義を述べなさい。

(2)カーボンニュートラルの実現にはあらゆる対策を総動員していく必要がある。我が国の温室効果ガス排出量の9割以上がエネルギー起源二酸化炭素であることを踏まえた対策の基本的考え方を述べた上で、あなたが特に重要と考える対策について、その理由と課題を示しつつ、具体的に提案しなさい。



 

<出題趣旨>

本問は、経済社会活動と密接に結びついた気候変動問題について、目標設定及び対策の観点から、総合的・大局的に理解し、問題構造に即した対策を考察・提案できるかを評価するもの。(1)では目標の達成経路が、重視する事項に応じて変わってくることを読み解けるか、(2)では主要な排出物質であるエネルギー起源二酸化炭素に着目して問題構造を理解し、基本的知識及び論理的思考の下で対策を展開できているかを評価対象とした。

 

2.

我が国の食料供給をめぐっては、気候変動による大規模な自然災害の増加、食料生産の不安定化等の課題に直面しており、SDGsや環境への対応も求められている。政府は調達から生産、加工・流通、消費の一連の食料システムを持続可能なものとするため、生産力向上や環境負荷軽減の取組とともに、環境にやさしい持続可能な消費の拡大を進めている。環境にやさしい持続可能な消費とは何かを述べた上で、このような消費を拡大するためにはどのような施策が求められるか、あなたの考えを述べなさい。

 

<出題趣旨>

我が国の食料供給をめぐっては、大規模な自然災害の増加、食料生産の不安定化等の課題に直面し、SDGsや環境への対応も求められている状況の下、政府は食料システムを持続可能なものとするため、生産力向上や環境負荷軽減の取組、環境にやさしい持続可能な消費の拡大を進めている。本問は、環境にやさしい持続可能な消費についての理解と、このような消費を拡大するための施策についての考察力を問うものである。

 

【経済関係】

3.

2025年7月に行われた参議院選挙においては、消費税率の引下げを主張する政党があった一方で、消費税は社会保障の財源となっており引下げは適当ではないとする政党もあった。
国家財政の状況や消費税と社会保障の関係などに関する以下の資料から読み取れることを述べた上で、仮に消費税率の引下げが行われた場合、社会保障にどのような影響を与えると考えられるか、あなたの考えを述べなさい。


【図1】1990年度と2025年度における国の一般会計歳出歳入の比較

(資料)財務省(2025)「日本の財政関係資料(令和7年4月)」


【図2】社会保障4経費(※)と消費税収の関係(国)

(資料)財務省(2025)「「社社会保障・税一体革』による社会保障の安定財源確保」の推移」より作成

(※)「社会保障4経費」とは、社会保障・税一体革』において消費税収の使途を明確化するため、消費税法第1条第2項に規定された「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費」を指す。


 

<出題趣旨>

本問は、2025年7月の参議院選挙において争点の一つとなった消費税率の引下げに関連して、国家財政と社会保障支出の推移や、2012年の社会保障・税一体改革において、消費税収(消費税率1%分の地方消費税収を除く)は全て社会保障財源に充てることとされたこととその推移などを踏まえて、それが実現された場合の社会保障への影響について筋道立てて説明できるか、論理的な考察力を問うものである。

 

【国際関係】

4.

地方自治体が主体となって国際交流・国際協力を実施することは、地域の国際化や外国人材の受入、関係人口の創出など、我が国の地域活性化に資する可能性があると共に、地方自治体の経験・知見を世界に発信し、開発途上国の経済成長や生活革善に貢献する重要な施策と言われている。
一方で、地方自治体が行なう国際交流・国際協力については、制度的・財政的な課題や、住民の理解と協力を如何に得るかなどの難しさも指摘されている。
こうした認識を踏まえ、地方自治体による国際交流・国際協力について、その意義と課題と共に、あなたの考えを述べなさい。

 

<出題趣旨>

「開発協力大綱(令和5年6月9日閣議決定)」が掲げる様々な主体との共創、独立行政法人国際協力機構(JICA)「第5期中期計画」における地域との連携強化、地方自治体・地域住民による国際協力の実践事例などを踏まえ、地方自治体が国際協力の担い手となる意義と課題を論じる力を問う。途上国と日本の地域課題の共通性を踏まえ、地域活性化と国際協力の接続を構想する政策的視野と実務的思考力を評価する。

 

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