専攻科目
農業・水産業法政策
略歴
平成19年(2007年)10月に東北大学法学研究科に着任しました。生まれも育ちも東京都です(父方は静岡出身ですが、母方の祖父が米沢出身なので、1/4だけ東北人です)。
東京大学法学部を卒業後、昭和50年に農林省(当時)に入省。農林水産省では、農政の基本方向の策定関係、農業基盤整備事業関係、農林水産業に関する試験研究関係、水産関係(国際交渉中心)その他を担当しました。その間、出向先の長崎県諫早市役所で諫早干拓事業を含む農林水産行政全般、旧経済企画庁で物価問題、内閣情報調査室で首相等が必要とする情報の収集整理業務に従事しました。また、平成16年1月~17年3月まで、東北農政局長として管内の農業施策全般を担当しました。本学赴任直前は、農林水産省傘下の試験研究機関である(独)農業・食品産業技術総合研究機構副理事長として、その運営に携わってきました。
公共政策大学院での授業に当たって
本年度(前期)は、政策体系論の一として農林水産業政策論I(2単位)と、地域社会と公共政策論I(4単位)を担当します。前者は人間にとって一日たりとも欠くことのできない食料を、如何に?安定的かつ?安全な状態で確保していくか、その政策について考察しようとするものです。
第1のテーマで、我が国の食と農の現状、世界の食料需給状況と今後大きな影響を及ぼす諸要因等を理解した上で、今後発生が予想される問題を考察する予定です。
また、第二のテーマは、食の安全性について、国民の関心を集めている諸問題を正確に理解し、安全と安心のギャップを如何に埋めていくべきか、具体的には、BSE牛、事故米、遺伝子組換え作物等を取り上げる予定です。
後者は、地域社会において現実に生じている問題を多角的方向からアプローチし、複数の視座からの検討を加えことを通じて柔軟な思考能力、将来を見通す優れた判断能力を養成し、総合的判断力の上に立った政策立案能力を修得することを目的としており、今回はコメを取り上げています。具体的には、生産コストの削減、生産調整、輸入制度、経営対策など幅広い問題について「タブーなき論議」を行い、地域におけるコメに関する方策をどう展開していくべきかについて多角的に検討する予定です。
また、ワークショップIIとして、M2の学生のリサーチ・ペーパー作成の指導も担当しています。取り上げるテーマが食料の安全保障関連であり、どのような提言がまとまるか、楽しみです。
研究室にて
現在の我が国社会は、グローバル化が進む中で、地域間の格差が拡がり、また未だ経験したことのない少子化・高齢化社会を迎えようとしています。今後複雑さを増すこれら様々な課題に真摯に対応していくためには、世の表層的なムードに押し流されることない高い志と問題を解決に導く十分な知識が不可欠ではないでしょうか。実務家教員としてこれまで三十有余年の行政経験を通じて得たものを、学生の皆さんとの議論などを通じて少しでも伝えていきたいと考えています。私の母校(高校)のモットーに「自ら調べ自ら考える」ことがありました。私自身、これまでこのモットーを心にとめて仕事をしてきたつもりです。学生の皆さんも、こうした姿勢で2年間の大学院での生活を送って欲しいと希っています。