東北大学公共政策    

プロジェクトD:なぜ地域振興にとって農業が重要なのか?農地と担い手の課題に関する研究

(1)趣旨

本研究は、農林水産行政の一丁目一番地である「農地」政策と農業の「担い手」政策に切り込むものである。さらにその個別政策の研究に止まらず、農村地域、就中、農業が地域社会・経済に重要なウエイトを占める中山間地域において、農業を通じた地域全体の振興について深く掘り下げることも射程に入れている。

まず研究対象に関する国の取組みに目を向けると、以下のとおりである。

(a)政府は、農地について「担い手への農地の利用集積率については、令和5(2023)年度までに8割に引き上げる」と目標を定め、農地中間管理機構(農地バンク)などを通じて集積を図り、目標を達成することとしている。

(b)担い手についても、令和2年3月に策定した「農業構造の展望」において、農業労働人口は今後も減少傾向は続くものの、2030年において140万人を確保(趨勢では131万人と推計)するとし、新規就農と定着促進などの様々な施策を講じることとしている。

(c)令和2年3月に改訂された、今後10年間の農政の指針となる新たな「食料・農業・農村基本計画」では農村についても、地域資源を活用した所得と雇用機会の確保、中山間地域等をはじめとする農村に人が住み続けるための条件整備等により振興を図ることとしている。

しかしながら、例えば農地の担い手への集積率については、少しずつ上昇してはいるものの、今の傾向が続くとしても目標(担い手に8割集積)の達成は難しいなど、①~③のすべてにおいて目標達成のためにはより強力な政策を講じることが必要である。したがって、ここに焦点を当てて考えていくこととし、何が目標達成を難しくしているのか、国や地方の施策、国内外の実態を調査し、どのように取り組めば更なる飛躍が可能になるのか等の研究を行った。

(2)経過:年間の作業経過等

a)前提(リモートと対面、オンライン調査と現地調査のハイブリッド)

本年度のワークショップの活動は新型コロナウィルスとの関係を抜きにしては語ることはできない。大学・大学院の教育は大きな制約・変更を余儀なくされた。感染予防の観点から、授業全てがオンラインで行われることとなり、ワークショップⅠもオンラインで行われることとなった。しかも開始は当初より数週間遅れることとなった。

これはワークショップⅠにとって大きな痛手であった。開始が大幅に遅れ、その上、i)フィールドワークとii)文献調査という車の両輪のうち、本大学院のワークショップの最大の特長である前者について大きな制約を受ける形でのスタートとなったからである。

しかし、2020年度のワークショップDの指導方針としては、「ピンチをチャンスに」というものとし、コロナ禍だからこそできるワークショップとすることをこころがけた。すなわち、ヒアリングに外に出られないのであれば、リモートや公開情報の情報収集、そして、文献調査を強化することによって、過去のワークショップで成し得なかった成果を上げようと学生を鼓舞し続けた。それは、逆にどんな環境の変化にも生き残ることができる、さらに環境の変化の中で飛躍できるスキルを養い、社会に出てから役に立つと信じたからであった。

b)前期

最初に指導教員から政府の取組を簡単に説明しワークショップをスタートしたが、実家が農家の学生はおらず(祖父母が農家という学生はいた)、農業は「遠い存在」という学生がほとんどだった。そのため逆に、身近ではない課題についていかに理解を深め関心を高めていくか、学生の努力を試そうと、敢えて指導の方針として学生の自発性に任せることとした。すると、学生自らが過去の農林水産政策に関するワークショップ最終報告書の研究、食料・農業・農村白書の研究をはじめ、そしてワークショップ内での議論が動き出した。

勿論、先述したコロナの影響は大きく、通信環境・音声のトラブルや、対面ではないため上手く意見が伝えられない等のもどかしさは最初こそあったが、流石にデジタル環境に慣れた世代である、すぐ順応した。これまでであれば、紙で普通に配布していた資料も、紙が使えない環境のため当たり前のようにPC経由で共有し、ブレーンストーミングも通常ホワイトボード上で対面で行うKJ法をオンラインでマイクとマウスを通じて行うようになっていった。また、ヒアリングについても移動時間・距離や交通費の制約を受けないオンラインの強みを逆活かして、緊急事態宣言下や解除直後の東京やこれまで考えられなかった九州の諫早市に対して敢行することができた。制約が少ないと言えば、本年度のワークショップでは仕事をしながら学業に励む学生がいたが、こうした学生にとっては職場から少し年休等を取ってオンラインで作業やヒアリングに参加できたことは、逆に仕事の制約を軽減した。

遠距離だけではなく、宮城県下のヒアリング(県庁、仙台市、登米市、宮城農業振興公社、宮城県農業会議)についても先方のご厚意によりオンラインヒアリングにより精力的に行った。こうした中で、少しずつ農業が抱える課題とそれに対する政策の効き具合について、PCを通じてではありながら肌で感じ生の声を吸収していった。

6月からは感染症に細心の注意を払いながら、火曜日の対面のワークショップが始まった。同じ教室にいながら、マイクを通じての議論であり、また事後のチェックシートの提出など負担は大きかったが、少しずつ「新しい日常」に順応していった。

そして遂に、6月中旬から対面でのヒアリングが感染症防止対策に細心の注意を払いつつ開始された。初回は、我が国の農業を調べる上で欠くことのできない農業協同組合を訪問した。ヒアリングで相手からの質問に答え、「調べているね」と誉められた経験、ヒアリング概要をまとめて先方に確認を求めた際に「よくまとまっている。うちの職員にリクルートしたい」と言われた経験は大きな自信につながったのではないかと思われる。

続く仙台農業園芸センターと津波の被害から復興途中(農地整備のハード面ではほぼ復旧し大規模区画化も行われたが、営農面では農業施設の建設がコロナの影響で途中であるなど、まだまだである)の荒浜地区を訪問し、続いて近隣市町村、農業大学校や農業高校などの教育機関に徐々に足を延ばしていった。研究対象の農業の担い手対策にとって、教育機関の調査を抜きにしては考えられないため、中間報告前にヒアリングが実施できたことは非常に貴重であった。また、仙台市の新規就農者や名取市の篤農家の方からのヒアリングも同じぐらい貴重な経験であった。中山間地域を多く抱える村田町において、道の駅で直販を行う一般財団法人「村田町ふるさとリフレッシュセンター」のヒアリングもその売上高に驚くなど、「農業を通じた地域振興」の研究にとって有益であった。この頃から感染症対策を講じた上でヒアリングに自動車も使うことが可能となり、行動範囲が広がった。

ヒアリングにおいてもう一点、書かなければいけないことは、一度ヒアリングした先に前期に再度ヒアリングを行ったことである。一度聞いたことの確認と、他の調査で分かったことを踏まえた再ヒアリングは、研究に厚みを増すことに大きく貢献した。

また、学生は書籍等の資料に当たることも怠らなかった。ともするとヒアリングに偏重しがちなワークショップ研究であるが、実は時間的制約からヒアリングで聞くことができることは限られていることは意外と見逃されている。「行って、聞いて、分かった気になる」ことは一部の意見、見解に過ぎないこともあり、危険ですらある。その点、今年は新たに購入した書籍、教員研究室にある書籍をメンバーで手分けして読んだことは、大きな逃せない成果であった。一冊の書籍は何回分ものヒアリングにすら相当し、また書籍で得た情報を基にヒアリングすることにより、先方も「おっ!よく調べているな」と感心して、さらに専門的な話、本音の話をすることにもつながったと考えている。

前期の後半には、中間報告会に向けて調査と並行して、集めた情報を政策提言につなげるためのディスカッションをリーダーを中心に行い、問題点の整理に努めた。この結果、共通点はかなり整理されていった。今年はコロナの影響で授業の開始が遅れたため、中間報告会も例年より遅れての開催日程となったが、やはりまとめあげる最後は精神的にも肉体的にもきつかったようで、相当タフな作業であったと聞いた。

c)中間報告会

8月の中間報告においては、それまでに培った基本的な知見、ヒアリングの成果を生かして、農業の担い手、農地、農村地域の振興について、政策提言案とまではいかないものの、課題について整理し、後期の調査・研究の方向性につながる発表を行った。

中間報告会での本ワークショップの特筆すべき点の一つは、発表をオンラインで行ったことにある。報告会の時点では、例年と同じ講義室での対面形式での発表も可能であったが、指導教員としては、それでは芸がなく、もう一歩進んだ発表、新しい時代の報告形式としてほしいと考えた。「学生の自主性に任せた」と先述したが、このオンラインでの報告だけは教員間で勝手に決めた。そこには、コロナが更に勢いを増した時に対面発表ができなくなる場合に備えておくべきという「予防」的な意味もあった。オンラインで発表学生が離れたそれぞれの自宅から報告する形式は、技術的に克服すべき課題に加えて、相手の表情や反応が見えない中で報告すること、質疑応答の際に隣の仲間と相談できないなどかなりの負担となったはずだが、学生は見事にやってのけた。もちろん、聴衆の面前でプレゼンテーションするという経験も貴重だが、ネット社会において、IT企業でなくともオンラインでプレゼンテーションを行うのが当たり前の時代、対面に比べて様々な制約の中で自分の意見を正確に伝え、質疑応答を行うワークショップDの学生の経験は勝るとも劣らず貴重であったと考えている。

d)夏季

夏季の間、ワークショップDは特に課題やヒアリングを行わず、コロナという制約の中での前期の活動の疲れを癒す期間に充てた。それでも学生の中には帰省先の地元の自治体でヒアリングを行う者もいた。そして、夏も終わりかけた頃、前期の総括を行い、後期に向けて始動しはじめた。

e)後期

10月からは、感染症に引き続き注意しつつ、ヒアリングを進めた。この頃には対面でのヒアリングが主となっていったが、事前に質問を十分に練ること、事前に質問を送付し、先方に準備して頂くなど、基本動作には増々磨きがかかった。後期においてワークショップの体制について大きく変更した点は、リーダー、書記などの係の役割分担を固定せず、持ち回りとしたことである。これは全員が全ての役割を経験するというメリットと、専任となることで能力を大きく伸ばす、責任関係を明確にするという点を棄てざるをえないという両面があり、賛否が分かれるところであったが、この形式で後期の最後まで行くこととなった。

後期のヒアリングでは、いよいよ宮城県を跳びだし、福島県、山形県、秋田県に足を運んで、中山間地域を実際に調査した前期のうっ憤を晴らすかのように、実に多くの方々、組織、団体を訪問したが、この調査は、農業しか産業がないような中山間地域で、創意工夫と努力でどのように地域振興を図っているのかを具に知る・体感することとなり、提言のイメージを育てる上で大いに役に立った。

2020年度ワークショップDの調査は、「オンラインでできるものはオンラインで、できないものだけを現地調査で」という方針だったとすれば、中山間地域の調査はまさに後者であった。

また、宮城県内では、近年伸長著しい法人経営の農業者に対してヒアリングを行った。家族経営が主流の我が国農業にあって、法人化がもたらすインパクト、影響を農学研究科の調査に便乗させて頂く機会も得て研究を進めた。そこでワークショップメンバーは、地域の中核となっている、規模の比較的大きな農業法人の活動を目の当たりにすることとなった。ヒアリングでは常に事前に質問票を先方に送付し、準備して頂くことにより短時間で効率的なものとなるように心掛けたが、農業法人へのヒアリングでは特にこの方法が上手く機能し、「質問が良い」と褒められるとともに、仕事で忙しい中にもかかわらず、長時間の本音のインタビューに応じていただいた。

さらに、農業政策の研究は、ともすると国内、就中、地方に目が向きがちであるが、「海外の農業についても調べることが、日本の農業の振興にもつながる」との考えに立ち、東北大学に出張講義に来られた研究員の方に海外(イギリス)の農業について聞くなども行った。このヒアリングは複眼的な視点を持つことに大いに役に立ったと考えられる。

もう一点、特に後期の調査で提言に向けて大きく役立ったのは、指導教員が「スパーリング」と呼んでいる体当たりの意見交換であった。ヒアリングというと、その名のとおり、相手先の考えを「聴く」と考えがちであるが、ワークショップメンバーは、前期に研究し、中間報告としてとりまとめた「提言の卵」をヒアリング先にストレートにぶつける行動に出た。前期の研究に基づく未熟なアイデアではあったため、「その考えは甘い」、「それは現実では通用しない」などとボコボコにされる場合が殆どだったが、説明することにより自らの甘さを痛感するなどして学生たちは一皮も二皮も剥けて成長した。この荒療治が最終的な提言を練り上げる上で大いに役立ったのではないかと考えられる。

さらに記述すべき点は、ヒアリングや調査にはどうしても地道な努力、「縁の下の力持ち的な活動」が必要だということである、また、「やりっぱなしはやらぬと同じ」と言われるが、調査については振り返りと分析が重要であり、この点も調査の熱が冷めないうち、忘れないうちに丹念に行ったことはワークショップ全体が伸びる大きな要因になったと思われる。そうしたヒアリング、大学院での議論といった活動の何倍もの努力を行ったことを指導教員として誇りに思っている。

前期の助走の結果、後半にスパートをかけることが可能となったが、その際にも感染症と絶えず戦いながらであったことは言うまでもない、最後までコロナ感染者を出さず、またヒアリング先にも迷惑をかけなかったことは、本年度のような異常な状況の中では、そのことだけをもって成功であったともいえる。その秘訣ともいえる一つは、特に後半、無理をしなかった点である。一年間を通じたマラソン研究の場合、どうしても疲れが出てくる。後期の後半では、まだまだ調査が足りないという点もあったが、そこは苦渋の選択肢として諦めることとした。さらに、ヒアリングの際に、先方に必ず「本当に行っても良いか」と何度も確認したことも、事故なく報告書を作成できた要因ではないかと思われる。

最後に、指導教員について述べると、藤岡祐治准教授には、1年を通じて、研究手法、特に関係法令の調べ方・解釈の方法、そして、論文の作成方法、ポイント、提言の導き方など主担当の実務家教員には知識が乏しい点を研究者教員ならではの視点から、指導いただいた。また、研究における情報通信の分野でも多大なご尽力をいただき、オンラインでのワークショップ、報告会は藤岡准教授の存在なくしては成り立たなかったところである。また、本年度に特に特筆すべき点として、一年を通じてM2学生の石塚駿介さんがTAとして通信関係のサポートに就いた点は、誰もが初めてのオンラインでの研究を進める上で大変貴重であった。オンラインのサポートだけではなく、昨年度の研究経験に基づく助言、サポートもワークショップメンバーの大きな助けとなった。

f)最終報告会

農業の担い手、農地、農村振興の各政策については、国・地方とも農政の最重要課題として、「その政策を失敗すれば我が国から農業はなくなる」と考えて取り組んでいるため、どこにも隈なく政策が巡らされ穴を見つけて政策提言を作ることは至難の業であったが、とにかく8か月間、全力で走り続けた結果、どうにか提言を出すことができた。それは、一つ一つは小さな提言かもしれないが、「農政のプロ」には、逆に決して見つけられない、素人だからこそできた提言ではないかと思われる。(提言の内容は後述する)

最終報告会で特筆すべき点は、今回も中間報告会と同じく、唯一ワークショップDだけがオンラインでの発表となったことである。中間報告会は教員がオンラインとすることを決めたが、今回は学生が自ら決めた。提言という中身の詰めと同時並行してオンライン発表の検討も行うことは、対面発表以上に負担を強いるものであったが、学生は両方とも完成させた。その発表は、テレビの報道のように画面を通じて視聴者に強く訴えるものであり、さらにテレビと異なり質疑応答にも「あたかも目の前に相手がいるように」受け答えする点でテレビを越えたと言える完成度であった。

(イ)ワークショップの進め方

毎週火曜日の3限~5限にワークショップを実施したが、年度当初は全ての授業をオンライン行うこととなったため、Zoomを用いて行った。制限付きで対面授業が開始された後も、火曜日はほぼ大学院内での検討を行った。検討に際しては、後期からはMicrosoft Teamsを使って検討を行ったため、画面・ファイルの共有、リモートでの参加をよりスムーズに行うことができるようになった。ヒアリングは、通常、火曜日以外に行った。火曜日は議論にあてる時間、それ以外の活動を予習、復習、調査にあてる時間と考えたが、ヒアリングについては社会人学生やそうでない場合も授業があることから、また、全員でぞろぞろ行くことは、コロナの状況ではなくとも無駄が多いと考え、少数精鋭で行うこととした。ヒアリングしたことを発表・議論することで、行かなかった人、行った人ともに理解が深まったようであった。勿論、チームビルディングも兼ねて、仙北市には全員でヒアリングに行った。

コロナの中ではあったが、時間と3密に注意しながら、先述したMicrosoft Teamsを活用し自主的なグループワークも行うなどしていた。

(3)成果

(ア)最終報告書

最終報告書は、「はじめに」、「おわりに」のほか、総論と各論の二部構成になっている。

「はじめに」は単なる序章ではなく、サマリー的な内容も含んでいる。

「Ⅰ 総論」では、今回の研究の背景、研究の目的、研究の方向と対象とした分野、研究の方向をまとめた。

「Ⅱ 各論」では、(1)書籍や文献、資料の分析、(2)①オンライン、②対面・現地のそれぞれの強みを活かしたヒアリング調査、この(1)と(2)の2つの結果を存分に活かし判明した事実や課題との分析を複層的に行った上で、大きく産業政策と地域政策の二つに分けてまとめ上げた。

産業政策では、まず一点目として、「農業の担い手」について動向と政府の政策を研究し、その上でヒアリング調査の結果得られた課題を踏まえて、現状の政策の改善策として、i)「新規就農者定着のための支援制度の充実」とii)「担い手支援のための「人・組織」の「連携」による地域の機能向上プラン」の二つを政策提言した。

続いて産業政策の二点目として、「農地」について、日本の農地政策の変遷から紐解き、近年の新しい政策である農地の貸借による集積を目指した「農地中間管理事業」について、課題を指摘し、その改善策として、i)「農地売買による担い手への所有権移転の促進」、ii)「信託制度を活用した農地管理」の二つの政策提言を行った。

地域政策では、まず中山間地域、農業・農村の有する多面的機能や鳥獣被害に焦点を当て、それぞれの実態と現行施策・支援制度等について記述した。その後、課題を提示し、その解決策として、i)「特定地域づくり事業協同組合を活用した地域資源の再発見―廃校を利用する農村振興―」とii)「「半農半X」定着支援制度」という新しい切り口での政策提言を行った。それぞれについてどこが新しいかと言う点については最終報告書本体を参照されたいが、新しい政策手法をさらに拡充しようとする意欲的な提言である。提言について、特に社会人経験のある学生はそのバックグラウンドを存分に活かしたものとなっている点を特色として挙げたい。

(4)ワークショップを通じた能力育成について

二度の報告会を経て最終報告書を取りまとめるまでの過程で、学生ひとり一人が多様な能力を身に着け、また伸ばすことができた。一つ一つ列挙することはしないが、コロナという困難にもかかわらずワークショップ開始時の知識、文章力、プレゼンテーション能力と最終段階のそれを比べると成長は驚き以外の何ものでもない。もちろん、その過程では様々な困難があったことは言うまでもないが、人はここまで成長できるのかということを学生自身は気づかないかもしれないが、指導教員として驚くとともに教員冥利に尽きると感謝している。

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