苦瀬雅仁 KUSE Masahito

専攻科目

環境法政策(環境法、環境政策、持続可能な社会の構築)

略歴

平成19年(2007年)8月に東北大学法学研究科に着任しました。東京都に生まれ育ちました。

早稲田大学大学院法学研究科公法学専攻を卒業(法学修士)の後、昭和59年に環境庁に入庁しました。環境庁・環境省では、自然保護、地域環境管理計画、交通公害対策、地球環境問題全般、環境基本計画(3回)、特殊法人改革、環境白書(2回)、環境政策の長期ビジョン等を担当。その間出向先の外務省国際連合局、UNDP(国連開発計画)で環境問題、北九州市役所で公害行政、環境事業団でPCB廃棄物処理事業、特殊法人改革対応等に係る業務に、併任先の内閣府で日本21世紀ビジョンに係る業務に従事しました。また、この間にニューヨーク大学公共政策大学院を修了(Master of Science)しました。

公共政策大学院での授業に当たって

 平成19年度は公共政策ワークショップIのD(地方公共団体の独自課税)の副担当、ワークショップII(リサーチペーパー指導(環境関係))のほか、環境法政策体系論の授業を担当しました。20年度は公共政策ワークショップIのグループB(環境問題(地方公共団体の環境マネジメント))を責任教員として担当するほか、ワークショップIIで環境関係のリサーチを行う学生(主として指導を行ったのは5名)の指導、環境法I(法科大学院でも)の授業等を担当しました。また、学部・研究大学院を対象とした環境法概論も担当します。
 WSIでは、地方公共団体自らが発生する環境負荷を削減するための取組のあり方について、仙台市における取組を中心に調査研究を行い、地方公共団体の環境マネジメントの今後のあり方について提言を行うグループ研究の指導をしました。地球温暖化問題をはじめとする今日の重要な環境問題の対策を進めるに当たっては政策を推進する行政当局自体がまず環境負荷の低減を自ら率先して実現することが重要であるのみならず、地球温暖化問題においては民生部門(市役所のオフィスなどのような事務所等の業務部門を含む)に起因する温室効果ガス削減対策が喫緊の課題となっているという観点からも、地方公共団体自らの環境負荷削減のための取組は一層重要になってきています。
 このような状況を踏まえ、市役所における環境負荷の発生の要因等を実態に照らして分析し、環境負荷低減のために何が必要かを明らかにしつつ、そのための組織内における環境マネジメントのあり方等を明らかにする、といった研究を指導しました。
 Iは主担当としては持たず渋谷先生のWSIB(納税者による税の使途指定の考察)の副担当となります。WSIIについては、WSII運営委員としてWSII全体の水準の向上のための基盤づくりの仕事をするとともに、公共的取り組みにおける行政機関以外の各主体の役割、環境負荷の少ない産業振興、資源循環関的産業の振興など、持続可能な社会の構築、といったより広い視点から、それらの分野の研究を行う学生のリサーチペーパー作成に至る指導をしています。
 公共政策大学院には、世の中の問題を真摯に見つめ、その解決に献身しようとする志の高い学生が集まっており、その意欲に応える責任を重く感じています。
 政策の立案能力を身につける前提として、学生のみなさんにはまずはきちんと知識を整理して習得してもらうことが重要であり、そして政策立案のためのさまざまのスキルを身につけてもらうことが重要です。さらにそれに加えて、ものの見方、とらえ方、などについて、私なりの経験を踏まえた考えを伝えていきたいと思います。それらを踏まえ、議論を重ねながら、論理的学問的であると同時に現実的実効的な解決策の立案に向けて、自ら深く考えていってもらいたいたいと思っています。これらを通じて、各種の公共政策上の問題を的確に解決するための政策を、理論や対極的洞察を踏まえつつ実践的なものとして立案していく能力を形成していくことが可能になると考えています。

研究室にて

 この大学院での私の主たる役割は、研究者というよりは教育者としてワークショップIII及びその他の授業での学生を指導する者としての任務を果たすことですし、それは私個人としても大変も充実感のある仕事ですので、それを最優先にしています。加えて21年4月からは副院長として牧原院長を補佐して本大学院全体の運営を円滑に進め教育水準を上げていくためのさまざまな仕事にもより幅広く取り組んでいます。
 しかし、実務の行政の現場では山ほどの目の前の課題について利害関係等の調整の中であわただしく政策の立案や意思決定をしていくという傾向がある中で、実務を支える科学的理論的な政策研究の基盤が強化されることが重要であることを長年感じてきたところでもあり、この東北大学での機会を生かして、現実の政策形成をそのような角度から改めて見つめ直して整理していくといった観点からなどの研究に従前より力を入れて行き、また併せてそれを授業内容の向上にも役立てていきたいと考えています。

Newsletterエッセイ

リンク先

▲このページの先頭へ