- 公共政策ワークショップⅠ 最終報告書 プロジェクトB(全302ページ、8.50MB)
(1)趣旨
2019年末以来「パンデミック」と呼ばれる事象への懸命の対応が続けられている。公共政策として、何をどのように捉えるべきなのか、何をどのように目指すべきなのか。感染症対策と地域政策という視角の下で、常に変化する現在進行形の社会事象・行政事象・法事象を現場に即して観察し、具体的に課題を抽出した上で、近い将来にまた起こりうるパンデミックを見据えて政策提言を行うことを、本ワークショップの目的として設定した。
感染症対策は、法律(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」等)、国の行政機関が策定する無数の方針・通知・事務連絡等に基づいて実施されるほか、各地方公共団体が独自にルールを策定し運用している。とりわけ、現下の感染症対策と連続して地域政策を展開していこうとする動きが注目される。例えば仙台市は、「感染症に強いまちづくり」を掲げて、新型コロナウイルス感染症緊急対策プラン(令和2 年6 月)、新型コロナウイルス感染症対応検証結果報告書(同年8 月)、新型コロナウイルス感染症対策プログラム(令和3年1 月)というサイクルを回している。こうした仕組みが実際に動くかどうかはまた別個の検討を要する。この検討に当たっては、もう一段具体的なレベルで現実の社会事象に対応した施策や実践を観察するという手法が有益であろう。ここにワークショップの本領が発揮されうる。
本ワークショップでは、仙台市、宮城県をはじめとする地方公共団体、様々な団体・事業者、東北大学「感染症共生システムデザイン学際研究重点拠点」等の協力を得て、現状の把握・分析、課題の抽出および解決策の検討を行った上で、学生ならではの具体的な政策提言を行った。
(2)経過
(ア)年間の作業経過等
a)前期
当初は、感染症と感染症対策に関する基礎知識を習得し、現状を把握することに力点を置いた。4月から5月にかけて、現行法制度や施策・事業等に関する基礎知識を担当教員から教授した後、学生が、政策実施主体別に、仙台市、宮城県、厚生労働省および内閣官房の施策を調査・分析し、課題の抽出を行った。その過程で、学生の問題意識の醸成を図り、知識を深めるために、押谷仁教授(東北大学大学院医学系研究科)および小坂健教授(東北大学大学院歯学研究科)からオンラインでレクチャーを頂戴した。
これらの基礎知識をベースにして、感染状況に鑑みて6月からヒアリング調査を開始した。この時点でのヒアリングは、各学生の問題意識を尊重しつつ、ワークショップ全体としての問題意識を明確にし、取り上げるべきテーマを選定することに重点を置いた。ヒアリング調査に当たっては、ディスカッションをしながら事前に質問票を作成し、ヒアリング先へおおむね1週間前までに送付することとした(年間を通じてこのような手法をとった)。具体的なヒアリング先は、仙台市危機管理局、仙台市保健所、宮城県保健福祉部疾病・感染症対策室および仙台商工会議所である。これらのヒアリングを通して、チームとしての提言先を仙台市と宮城県とし、医療提供体制と経済支援という二本柱を設定すること、各学生の問題意識をチーム全体のテーマにつなげることを確定した。7月には、これまでの調査検討の状況を踏まえつつ、中間報告会も視野に入れながら、今後の検討の方向性について議論を重ねた。
b)報告会Ⅰ(中間報告会)
中間報告会では、高齢者の重症・死亡割合が高い一方、若者の陽性者割合が高く、特に首都圏で感染が拡大しているという現状認識に立った上で、病床ひっ迫、および、経済活動の抑制を課題として設定した。
病床ひっ迫という課題に対しては、高齢者の感染を予防するとともに若者の行動変容を促し、専門人材不足への対応によって医療提供体制を確保するという方針を示した上で、①高齢者全般に対する支援、②高齢者施設に入所する高齢者に対する支援、③人材不足とそれに伴う組織改革、④若者に対する情報発信をテーマとして取り上げた。他方、経済活動の抑制という課題に対しては、行政が説明責任を果たしつつ、事業者に対する経済支援を行うという方針を示した上で、⑤リスクコミュニケーション、⑥飲食店に対する支援、⑦中小企業に対する支援、⑧スポーツ・文化芸術支援をテーマとして取り上げた。加えて、首都圏での感染拡大が「集中から分散へ」という価値観の変化と地方への関心の高まりをもたらしていることをチャンスとして捉え、⑨移住・定住促進による地域活性化を取り上げた。そして、今後の全体の方向性として、現下の新型コロナウイルス感染症対策のみならず近い将来に予想されるパンデミックにも備えること、そのためにパンデミックによる影響に対して強靭な社会・行政を作ることを示した。
この段階で、現状分析を踏まえた上で、問題意識を明確にし、広がりのある方向性を提示できた点は、その後の調査検討を深化させる意味ではある程度十分な到達点であったと考えられる。しかし、各学生が自らの問題意識に基づいてテーマを分担したことから「個人研究」の寄せ集めにとどまっており、チームとしてのストーリーを提示しえなかったことが、最大の課題として残された。
c)夏季
中間報告会の振り返りを踏まえ、夏季休暇中の作業として、「パンデミックによる影響に対して強靭な社会・行政」とは何か、目指すべきものを明確にすること、チームとしての政策提言を行うことを、基本的な目標として設定した。8月~9月は自主ゼミ(担当教員が出席した回も含む)を開催した。厳しい感染状況が続くなかで後期のヒアリングを円滑に実施するため、ヒアリングを要する事項を整理し、他都市における取組の調査等を通して、ヒアリング先の候補の選定も行った。しかし、感染状況が改善しないことから、多忙を極めるヒアリング先へのアポイントメントは控えることとした。その結果、例年に比べてほぼ1か月遅れのペースとなったが、パンデミック対応というテーマに取り組む以上、与えられた条件・環境のなかで最善を尽くすこともまた、本ワークショップのプロセス上の課題となり、成果ともなった。
d)後期(年内)
10月~11月は、夏季の議論やヒアリング先との調整結果も踏まえつつ、全国の自治体や団体の取組で参考となる事例についてヒアリング調査を実施した。
本ワークショップのテーマにとってとりわけ有益であると判断した福岡県商工政策課(現地訪問)、福岡商工会議所(現地訪問)、福岡市(書面回答)、山形県健康福祉部新型コロナウイルスワクチン接種総合企画課(現地訪問)、山形市保健所(現地訪問)、広島県健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策担当(書面回答)、広島市経済観光局商業振興課(オンラインヒアリング)、同企画総務局広報課(書面回答)、福山市市長公室情報発信課(書面回答)、新潟県(資料提供)へのヒアリングを実施したほか、宍戸邦久教授(新潟大学経済科学部)にオンラインでご教示いただき、政策研究大学院大学国際シンポジウムにオンラインで参加した。さらに、全都道府県を対象としたメールでのアンケート調査を行った。
このうち、ようやく叶った福岡ヒアリングにおいては、特に経済分野に関して貴重な示唆を得た。コロナ禍によって全国的に経済が低迷する中、福岡では、地域再生法による税制優遇の活用の提案や特定業務施設整備計画の認定等を通じて、企業の本社機能移転の支援を行ったり、天神ビッグバンなどのプロジェクトにおいて、特区制度の下でビルの高さ制限緩和などの規制緩和を柱として事業を進めたりするなど、積極的な施策が展開されている。また、山形ヒアリングにおいては、感染症対策の現状について、庁内の組織体制(他部局からの応援・派遣を含む)、県と市の連携、病院・医師会との調整等のほか、意思決定過程のあり方、情報の管理・公開のあり方等に関しても詳細な教示を頂戴した。
仙台市内のヒアリングとして、仙台市経済局(対面ヒアリング)、同スポーツ振興課(対面ヒアリング)、同健康福祉局(書面回答)、同総務局広報課(書面回答)、宮城県保健福祉部新型コロナ調整室入院調整班(オンラインヒアリング)、同医療人材対策室看護班(書面回答)、宮城県看護職員養成学校(書面回答)、公益社団法人宮城県医師会(オンラインヒアリング)、台原地域包括支援センター(書面回答)、社会福祉法人(書面回答・オンライン・電話ヒアリング)、宮城県社交飲食業生活衛生同業組合(書面回答)、公益財団法人仙台市市民文化事業団(対面ヒアリング)、食堂居酒屋 天地笑店(対面ヒアリング)からそれぞれ、厳しい状況に直面し続ける現場での試行錯誤を含む様々な取組とその成果・課題についてご教示いただいた。
12月には、最終報告会のパワーポイント資料の作成と最終報告書の執筆を並行して行いながら、提言内容を形作ることに力を注いだ。チームとしての政策提言を行うことを目指し、個々のテーマを包括するいわば中テーマとして6つの相互に連関する柱を打ち立てた。特に留意した点としては、常に変化する状況のなかでその時々の状況を正視しつつ、学生が自ら見出した問題を尊重し、将来を見据えたチームとしての提言を行うよう努めたことがある。
e)報告会Ⅱ(最終報告会)
最終報告会においては、仙台市・宮城県における現状(感染状況、それへの対応、医療提供体制、地域経済への影響)を整理した上で、「パンデミックの影響に対して強靭な行政・社会の構築」という目的の下、①保健・医療体制の充実、②政策の迅速な実施、③パンデミックにおける事業継続、④長期的な経済活性化、⑤市民コミュニティの維持、および、⑥行政への理解・信頼の構築という6つのテーマを提示した。この6つの柱の下に各分野について、現状分析、課題、提言の方向性、提言の具体的方法、提言から得られる効果を掲げるという構成とした(詳細は「(3)成果(ア)最終報告書」参照)。報告では、各学生ともペーパーに目を落とすことなく、スムーズにプレゼンテーションを行うことができ、また、質疑においても、概ね自分たちの考えを説明することができた。
f)後期(年明け以降)
主に、最終報告書の執筆と内容確認作業を行った。特に政策提言部分については、最終報告会時には未完成であったため、さらなる検討を加える必要があり、多くの時間を要したが、学生間で分担し、チームとしての報告書を完成させることができた。また、最終報告書に掲載するヒアリング記録について、それぞれヒアリング先に案を送付し、内容のご確認をいただいた。
(イ)ワークショップの進め方
毎週火曜日の3限から5限の開講時間のほか、学生は必要に応じ、自主ゼミを実施していたが、これは、ワークショップの準備に充てるためのものであり、学生同士の議論を尊重する観点からも、担当教員は基本的に参加しないこととした。メンバーは、学部卒の学生7名と社会人学生1名という構成であった。バックグラウンドの異なる学生がそれぞれに強みを生かし、刻一刻と変化する状況のなかで多岐にわたる課題を把握することに多くのエネルギーを注ぐことで、ワークショップ全体として理解と認識の共有を図った。
年間を通して4名の副担当教員にご指導いただいた。戸澤英典教授には、ワークショップをはじめとする豊富な教育経験に基づいて、チームとしての調査研究の質の向上に導いていただいた。坪野吉孝教授は、疫学の専門家として専門的知識を分かりやすくご教示下さり、教育的配慮に富んだ指導を行って下さった。実務家教員として、厚生労働省での新型コロナウイルス感染症対応の経験をも踏まえ、前期は、橋本敬史教授が質の高い講義をはじめ退任当日まで全力を注いで下さり、後期は、藤田一郎教授が大変丁寧に要所を押さえた指導を行って下さった。
スケジュールについては、中間報告会、最終報告会といった主要なポイントから逆算して、学生が主体的に日程を立てて管理した。役割として、リーダー、サブリーダー、渉外、儀典、書記、会計、および、安全管理担当兼オンライン担当(毎回の感染防止対策の実施と点検、オンライン授業等の場合の基本的な技術面での補助等)を設け、すべての学生がすべての役割を担当することとした。とりわけ、すべての学生がリーダーの役割を経験し、チームを引っ張り、まとめあげることの難しさとやり甲斐を感じたことは、将来的にも大きな財産になると考えられる。
ヒアリング調査等については、遠方も含め計28の機関・団体と3名の大学教員にご協力いただいた。新型コロナウイルス感染症対応で御多忙を極めるなか、将来を担う学生への配慮と期待に基づいてヒアリングに応じて下さり、貴重なご教示を賜ったことに心から感謝申し上げる。最終報告書に掲載したヒアリング記録は、パンデミックの渦中での証言として共有財産とさせていただきたい。
新型コロナウイルス感染症のまん延状況等に鑑み、4月中はオンライン形式をとったほか、夏季休暇中や学期中の自主ゼミ、遠方の地方公共団体等へのヒアリング、業務の合間を縫ってご対応下さった担当部署へのヒアリング等、必要に応じてオンライン形式を効果的に用いることができた。
(3)成果
(ア)最終報告書
最終報告書は、第1部「はじめに」、第2部「新型コロナウイルス感染症の拡大と対応の現状」、第3部「本政策提言の全体像」、第4部「政策提言」および第5部「おわりに」という全5部から構成されている。おおむね、第1部から第3部までが総論部分、第4部が政策提言部分に当たる。
第1部において、本研究の背景・目的、研究対象、および、研究手法と本稿の構成について述べた上で、第2部において、新型コロナウイルス感染症の拡大と対応の現状として、感染状況と施策について国および仙台市・宮城県に分けて概観した。第3部では、本研究の目的である「パンデミックの影響に対して強靭な行政・社会の構築」に関し、強靭な行政・社会とは、パンデミック時において、生命の保護と経済活動の維持のための適切な対応を、迅速かつ柔軟に実施できる行政・社会を指すとした上で、その達成のために必要な要素として、①保健・医療体制の充実、②政策の迅速な実施、③パンデミックにおける事業継続、④長期的な経済活性化、⑤市民コミュニティの維持、および、⑥行政への理解・信頼の構築という6つを掲げた。
第4部が本研究の中心をなす。第4部では、6つの柱のなかでそれぞれのテーマについて、現状分析と課題抽出を行った上で、政策提言の方向性、具体的な内容、期待される効果、残された課題等を提示した。
①「保健・医療体制の充実」では、看護師不足の解消と保健師不足の解消を取り上げた。パンデミックという医療資源の需要が著しく高まる状況の中で、より多くの命を救い、医療従事者や保健師をはじめとする専門職一人当たりの負担が軽減される体制を平時から構築するために、看護師のIターン・ U ターン促進および保健師の有事における増員を提言した。
②「政策の迅速な実施」では、新型インフルエンザ等対策行動計画の見直し、若者への情報発信と双方向コミュニケーション、および、高齢者介護事業所に対する情報発信(介護事業所に対するメールアドレスを用いた情報配信の原則化、および、介護事業所内部における情報の収集・共有・処理に関するガイドラインの策定)を取り上げた。これらの提言は、初動対応や状況に合わせた体制構築など多様な政策の実施を迅速に行い、若者も含めた市民への情報発信により行動変容を促すことで、市民の生命を保護しようとするものである。
生命と生活の保護に関わるこの2つのテーマに、個々の事業者とまち・地域を対象とした短期的・長期的な経済面のテーマが連なる。
③「パンデミックにおける事業継続」では、仙台市内全事業者における簡易版感染症BCPの策定努力義務化と策定に係る支援の実施、経済支援策における電子申請の普及、および、文化観光局内における各課連携組織の設置とイベント総合支援を取り上げた。これらの提言は、経済活動を円滑に行いえなくなるパンデミック下において、事業者自身が対応力を高め、行政による迅速的な支援を担保し、担い手を絶やさずに産業を守ることを目指したものである。
③と対になる④「長期的な経済活性化」は、長期的な視点から、地域経済の基礎体力を向上させ、地域経済全体を含めたまちづくりとして根付かせ、パンデミックにも耐えうるような地域経済体制を構築することを目指すものである。ここでは、「感染症に強いまちづくり」と企業誘致による仙台市経済活性化、および、中小企業における前向きな投資促進のための経営アドバイザー派遣を提言した。
⑤「市民コミュニティの維持」は、以上のテーマを補完するものとなる。地域コミュニティという民間主体の活動を行政が支援することを通じて、自助の限界の補完と共助・社会包摂の推進を行い、地域で様々な役割を果たしているコミュニティが有事においても機能するようにするものである。ここでは、市民生活における文化活動コミュニティの維持、および、高齢者の孤立対策(高齢者コミュニティのICT 交流の推進)を取り上げた。
さらに⑥「行政への理解・信頼の構築」は、平時からの行政への信頼構築と、有事においても行政に対して信頼を持って施策に従ってもらえるような体制を構築することで、パンデミック時の様々な施策の円滑な実行を可能にするという点で、あらゆる施策の基盤を支える要素となる。ここでは、ステージ基準及び要請内容の設定と専門家会議の情報公開、および、繁華街「国分町」における感染拡大抑制とイメージの向上(平時から街・事業者の声を聞く仕組み作り)を提言した。
行政のみならず市民、事業者、地域コミュニティもそれぞれに、感染症の状況の変化に柔軟かつ迅速に対応しながら、可能な限り医療と経済の両立を図り、平時から、6つの柱の下で有機的に結びつく政策の実施を通して強靭な社会・行政を作り直し、作り上げていくことになろう。
最後に第5部で、各政策提言の全体像が本研究の目的にどのように結びついているのか、改めて整理を行った。そして、本研究の残された課題として、扱うことができなかった問題群の存在(今回のパンデミックで炙り出された社会の問題、例えば、生活困窮者への支援や学校教育の確保、誹謗中傷対策など)、時間軸の問題(看護師不足や中小企業の生産性向上など、従前からの大きな課題は長期的な対応を要すること)等を挙げた。
(イ)ワークショップを通じた能力育成
仙台市をはじめとする関係機関・団体や大学教員のご協力を得て、極めて充実したヒアリング調査を実施することができた。これにより、現実の様々な営みに係る複雑なメカニズムを認識し、多角的な視点から政策を検討する貴重な経験ができたと同時に、その能力の向上につながったものと考えられる。また、現在進行中の政策形成・実施過程をにらみながらの難しい作業に当たって、ワークショップ全体として共有した問題意識を持ち続け、議論を重ねて、自分たちの政策提言を主体的に練り上げていくことができた。この政策提言は直ちに受け入れられるとは限らないものの、長期的な視野に立って危機を乗り越えなければならない今、自ら公共政策に関わろうとしたこと自体に価値が認められよう。何よりも、学生自身が次なるパンデミックに直面した際、「強靭な行政・社会の構築」という課題の意味と意義を真に理解し、その中心的担い手として主体的に行動することが期待される。
中間報告と最終報告の二度の報告会に向けたプレゼンテーション資料の作成とプレゼンテーションのリハーサル、そして報告会本番での報告と質疑応答は、自らの考えをいかに相手に説明し、理解を得るかというトレーニングとして、非常に有効であったと考えられる。また、報告書の作成に当たっては、各自が自分の作業に責任を持ちつつも、一つの形ある成果を公にするために、ワークショップとして共同作業の意識と一体感を持って取り組むことができた。密なコミュニケーションが当然には成り立ちえない状況において、集団作業の難しさに悩みながら、学生はそれぞれに、本ワークショップを通じて成長したと考えている。