東北大学公共政策    

2025 WSC 活動報告 第三弾(韓国での海外調査)

2025年度のワークショップCでは「ジェンダー・ギャップに挑む」をテーマに政策研究に取り組んでいます。今回は、11月に行った韓国での海外調査についてレポートします。

日本と韓国は、女性が出産や育児を機に一時的に離職する「M字カーブ」や家父長制的な文化など、ジェンダー問題について共通する課題を抱えています。一方で、韓国では、選挙の際に候補者のうち女性を一定以上割り当てる「クオータ制導入」や、世界的に高まりをみせた「MeToo運動」の展開などを通じて、ジェンダー政策が進展し、世界経済フォーラムの発表するジェンダー・ギャップ指数でも日本を上回る順位となっています。こうした取組みを学ぶため、韓国での海外調査を実施いたしました。

11月4日には国会を訪問し、元女性家族部長官のキム・ヒジョン議員からお話を伺いました。議員からは、女性の出産・育児によるキャリア中断を防ぐ取組みや、核家族化が進む中、地域コミュニティ単位で子育てを支援したいという方針についてご説明いただきました。韓国における今後の政策について、理解を深める機会となりました。

キム・ヒジョン議員室でのセッションの様子


国会議事堂前での記念写真

11月5日には在大韓民国日本国大使館を訪問し、今回のヒアリング調査にご尽力くださった職員の皆様にお礼申し上げるとともに、お話を伺いました。大使館の業務内容や日韓関係について直接ご説明いただく、大変貴重な機会となりました。


大使館職員の方々との記念写真

午後は大韓民国歴史博物館にて、日本語ガイドの方から様々な歴史を説明していただきました。説明をお聞きしながら、韓国の歴史の中で人々が抱えてきた多様な思いを受け止めました。また館内の屋上からは景福宮(キョンボックン)が見え、長い歴史をより身近に感じることができました。

大韓民国歴史博物館の屋上から景福宮を望む

11月6日は、まず、午前中に韓国女性団体協議会を訪問し、ホ・ミョン会長からお話を伺いました。特に印象的だったのは、女性団体の草の根的な活動が組織化され、政策提言へと結びついている点です。クオータ制の実現も、まさにこうした取組みの成果の一つです。

韓国女性団体協議会でのセッションの様子

午後には両性平等教育振興院と性平等家族部(本年10月に旧女性家族部から再編され発足)を訪問しました。両性平等教育振興院では、韓国において全ての公務員に対してジェンダー平等教育を義務化していること、教育内容にはデジタル性暴力やデートDVといった現代的な課題も含まれていることなどを伺いました。セッションの中では、日本の現状や取組みについてのプレゼンテーションも行いました。また、性平等家族部のチョ・ミンキョン男女平等政策局長からは、韓国には「家族フレンドリー認証制度」があり、その制度を通じて企業文化や職場風土の改善を促していることを紹介していただきました。日本にも同様の認定制度はありますが、韓国のこうした認証制度は、より強い影響力を持っている印象を受けました。


両性平等教育振興院でのセッションの様子


性平等家族部でのセッションの様子

11月7日には、韓国女性記者協会に所属するメディア関係者の方からお話を伺い、さまざまな角度から韓国のジェンダー・ギャップについて学ぶことができました。

1週間にわたる韓国での滞在と調査を通じて、総じて、韓国社会においては、ジェンダー問題をめぐる葛藤や反発はみられるものの、各界各層のジェンダー平等政策を進める確固たる意思を感じ取ることができました。また、女性のキャリア断絶が「個人の課題」ではなく「社会全体の課題」と位置づけられており、多機関が連携しながら政策を進めていたことも印象的で、日本にとっても学ぶべき点が多いと感じました。
滞在中には、宿泊したホテルの方にご紹介いただいたサムギョプサル店にて夕食会を行い、後期の残りのワークショップ活動や最終報告会に向けて、メンバー間の結束を一層強めました。

夕食会での様子

今回の韓国での海外調査は、多くの方々のご協力があってこそ実現できたものです。改めて深く感謝申し上げます。感謝や謙虚さを忘れず、今後の研究にも真摯に取り組んでまいりたいと思います。


国立民族博物館前での記念写真

 

【今回の調査にご協力いただいた機関・関係者の皆様】 ※所属先50音順
 韓国女性団体協議会 ホ・ミョン会長
 在大韓民国日本国大使館 職員の皆さま
 性平等家族部 チョ・ミンギョン男女平等政策局長
 大韓民国国会 キム・ヒジョン議員
 宮城県ソウル事務所 本田健太郎所長
  (訪問の模様は https://www.publicpolicy.law.tohoku.ac.jp/newsletter/newsletter2025/news-20251110/
 両性平等教育振興院 キム・サムファ院長
 韓国女性記者協会所属メディア関係者様

 通訳ご担当者様

【その他訪問した施設】 ※50音順
 韓国国立民族学博物館
 ソウル歴史博物館
 大韓民国歴史博物館

このページのTOPへ